外国暮らしで変化した価値観、子育て シアトル在住の浜中有美子氏に聞く

浜中有美子さん


──私もそれは思いましたね。MBAに行ったら、会社に一回も就職したことがない同級生がたくさんいるんです。私の親はサラリーマンと教師なので、起業なんて全く考えたことがなかったのに、就職したことない人たちが「一回くらい就職してみようかな?」と、あくまで一つの選択肢として話している。私の価値観が変わったきっかけでした。 

今後の予定はわからないとは思いますけど、とりあえずはシアトルにいるのがハッピーと感じますか? 

 そうですね。まず体がハッピーなんです。暑すぎず寒すぎず、でも季節感がある。 そして広い。

あと、海外に住んでいると、日本だと考えなくていいことを考えさせられるんだけど、それが嫌いじゃないんです。

この国に住むようになった経緯は人それぞれで、日常知り合う人の中にも、政治や戦争などの理由で自国を出てきた人もいる。頑張ってもどうにもならないことがある、人生はフェアじゃない、ということを見せつけられる機会が多い。 

そんなことは、日本にいても注意していれば気づけるのでしょうが、私たちは恵まれているし、空気を読んで人に合わせる力を身につけているから、自分をマジョリティ側に置いて、マイノリティ側が見えないふりをすることができる。波風立てず、みんなと同じようにしていれば大丈夫。でもそうするうちに、自分の視点が凝り固まってることにも気付かない。

だけど海外にいると自分は完全にマイノリティだから、「みんなと同じ」になんてなれない。自分の視点が凝り固まろうとしても、「そこ、そうじゃないでしょ」と思い出させる出来事がたくさんあるのです。

今のアメリカの政治もそうですし、地元でも銃の乱射や、移民の問題だってある。ホームレスも多くいるし貧富の差も大きい。そういう光景を毎日目の前にぶつけられ続けていると、いつも自分の頭の中の筋肉を動かしてる感じがして、それが嫌いじゃない。わかります?(笑)
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文=クローデン葉子

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