世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


最初は「空港にタバコの自販機を改造した機械を置いてSIMカードを配りまくる」という突飛なビジネスのように見えましたが、うちの会社にも空港にもユーザーにもいい、全員にとっていいスキームでした。空港にもマーケティングデータを提供することで喜ばれ利用者の利便性も高まります。ロジカルに考えると、いけるはずだと思える。そういうものを考えて、実際にやっちゃうのが楽しいですね。

──加藤さんのわくわくの原点は何だと思いますか?

父親が理系の研究者でした。旧運輸省(現:国土交通省)の技術官僚です。関西国際空港やエジプトに作られたアスワンハイダムの建設に携わっていました。彼らの世界は完全に計算、シミュレーション、実証の世界です。もしかしたら血筋として、仮説を立ててシミュレーションして、実行するのが好きなのかもしれません。父親は自然現象や物理現象が対象でしたが、私の場合は人や市場が対象です。

──どのような未来を想像しますか?

私は都会よりも田舎が好きです。生まれ育った横須賀市は近年、人口流出自治体ワーストワンになりました。私は横須賀が好きですが、やっぱり住めないと思う。それは自分の就きたい仕事がないからです。日本の産業は、農業などの第一次産業から自動車などの製造業の第二次産業へと移行しました。しかしその後、サービス産業の第三次産業にはうまく移行できていない。横須賀がまさにそうです。1970年代に工業団地がつくられて人口が増えましたが、44万人をピークに昨年41年ぶりに40万人を切ってしまいました。

現状では、その土地が好きで愛着があっても、仕事がないと離れざるを得ない。都会から故郷に戻っても仕事があったり、都会に行かなくても故郷に仕事があったり、そういう社会の方がいいんじゃないかと思います。それを観光で生み出していけたらいい。観光業は、人が都市部から地方部に移動して、そこに消費が生まれます。観光は地方部でも成立しやすい第三次産業なのです。

日本人の国内旅行市場が少子高齢化で縮小する中、今後伸びるのは、アジアを中心とした国民平均年齢の若い国々からの旅行者です。バブル期でOLを中心に海外旅行ブームが起きたようなことが現在のアジアで起こっています。インバウンド・サービスで、地方の復興ができる好機だと思います。自分が住みたい場所で好きな仕事をして暮らせる、そんな未来がきてほしいですね。


加藤史子(かとう・ふみこ)◎WAmazing代表取締役CEO。1976年生まれ。慶応義塾大学環境情報学部(SFC)を卒業し、98年にリクルート入社。新卒2年目で「じゃらん.net」、その後は「ホットペッパーグルメ」などの立ち上げに携わり、ネット新規事業の企画開発などに従事。「マジ☆部」「雪マジ!19」などフリーミアムの若者需要創出プロジェクトを手がける。2016年7月、WAmazing を創業。19年、Morning Pitch Special Edition 2019最優秀賞受賞。

構成=成相通子 イラストレーション=Willa Gebbie

VOL.40

「つらいからこそ海外へ」連続起業家・西川順...

VOL.42

日本−グアテマラで遠隔ワークのCEO、「...

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい