ロシアが開発中のドローン爆弾と「戦争のIoT化」の流れ

ロシア軍 / Getty Images

今年5月に筆者は、イランが支援するテロ組織のイスラム聖戦機構が、IEDと呼ばれる手製爆弾を搭載した小型ドローンで、ガザ地区のイスラエルの戦車部隊を攻撃する動画について報告した。

ドローンを用いたテロ活動は世界中の当局にとって、警戒すべき対象となっている。そして今、ロシア軍が同様な手法で小型ドローンを攻撃に用いようとしていることが明るみに出た。ロシア軍のスポークスマンは現地メディアの「Izvestiya」(イズベスチヤ)に、ドローンに致死性のある爆薬を搭載する計画を語った。

小型ドローンは既に監視や偵察分野では広く活用されているが、ロシアはこれを一歩進め、標的の爆撃にドローンを用いようとしている。ロシア軍の広報担当は、ドローン専用の小型爆弾の開発も進めていると述べた。

初期の段階でドローンに搭載する爆弾は1キログラム以下のものになるという。しかし、それらは十分な致死力を持つ手榴弾やIEDだ。さらに、その先には最大20キログラムの爆弾の搭載も視野に入れているという。

これらの爆弾が標的とするのは、地上や海上の基地及び、車両や戦略拠点、さらには兵士たちになる。Izvestiaの記事は、中東のイラクやシリアの武装集団が開発中の爆弾を搭載したドローンの動画へのリンクを含んでいた。

この動きから見えてくるのは、小型で低コストのドローンの軍事利用の広まりだ。ロシア軍はかつて、テロ集団からドローンを用いた攻撃を受けており、これに反撃したい狙いが伺える。

大量のドローンに爆弾を搭載するオペレーションでは、一部のドローンが警戒区域を突破するだけで、敵に被害を与えられる。たった1つの爆弾が着弾するだけで、コスト的には採算が合うことになる。

この流れは「戦争のIoT化」という文脈でも語られている。無人機を用いた攻撃は拡大が続いており、効果的な戦闘手段とみなされている。これまで数億ドルを費やして開発が進められた攻撃が、わずかな費用で実現可能な時代がやってきたのだ。

編集=上田裕資

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