テスラと真逆の発想で進む、自動運転「モービルアイ」の戦略

モービルアイCEO アムノン・シャシュア / Getty Images


地図データをクラウドで収集する

また、地図データに対する考え方でもマスクとシャシュアの違いは鮮明だ。マスクは高解像度の地図データは不要であり、一般的な地図データで十分だとの見解を示した。

一方で、モービルアイは自動運転に必要な地図をクラウドソースする「Road Experience Management(REM)」システムを開発。フォルクスワーゲンらと共同で、2022年までに2500万台以上の車両からデータを収集しようとしている。

マスクのアプローチは、プールに飛び込んでから泳ぎ方を覚えるようなものだ。一方で、シャシュアは、水面で体を浮かべることから始めようとしている。モービルアイはまず、先進運転支援システム(ADAS)をより多くの車両に搭載させ、レベル1の自動運転を標準化させようとしている。さらに、その後の数年でレベル2を目指している。

人間のドライバーが介入しないレベル4の実現に向けては、コスト面の改善と、法規制の整備が必要になる。シャシュアはレベル4の導入に関し、特定の地域をジオフェンス化した、都市部でのロボタクシーサービスが現実的だと考えている。モービルアイとインテルは、昨年の秋からテルアビブで、ロボタクシーの試験プログラムを開始した。

レベル4の自動運転が個人でも利用可能になるのは、大規模なロボタクシーサービスが実現した後になるというのが、シャシュアの考えだ。彼は明確な時期については言及していないが、それが2020年代以降であることは明らかだ。

しかし、マスクは来年にも、完全自動運転車によるロボタクシーを100万台以上稼働させるという、極めて野心的なビジョンを描いている。

編集=上田裕資

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