このドラマの結末がどのようなものになるか、1972年と1988年の大統領選で候補者(民主党)の陣営に加わった筆者には、見当がつく──ドナルド・トランプ大統領が再選されるだろう。
米国の有権者はどうしても、左派のイデオロギーの信奉者たちを嫌う。これは、100年以上前の大統領選で民主党のウィリアム・ジェニングス・ブライアンが3回にわたって出馬し、いずれも敗北したころから繰り返されてきたパターンだ。
フランクリン・ルーズベルトは大恐慌のさなかでさえ、大統領選で勝利するためには社会主義者ではなく中道派のポピュリストとして戦う必要があることを知っていた(ジミー・カーターとビル・クリントンもそのことを理解していた)。
現在の立候補者たちは、極端に左寄りにならなければ民主党の指名争いに勝つことができないと確信している。だが、それは来年11月の大統領選での勝利を遠ざけることになるだろう。
指名を獲得した後で中道寄りに軌道修正しようとしても、かつてのようにはうまくいかない。予備選の間にその候補が訴えた全ての「ひどいこと」を、対立候補が指摘し続けるからだ。民主党が掲げる政策がほぼ完全に国内の経済・社会問題を巡るものになる一方で、トランプが重視するのは、安全保障とナショナリズムに絡む問題だ。
トランプの再選には、以下の5つの要素が貢献すると考えられる。
・平和
トランプは自分が大統領に選出されていなかったら、米国は北朝鮮と戦争を始めていただろうと述べている。それは言い過ぎだが、トランプが外国で自国の軍事力を行使したくないと考えていることは明らかだ。
トランプは核兵器を持つロシアとの関係改善を目指し、実際にはイランへの爆撃を行わず、シリアやアフガニスタンから米軍を撤退させる意向を示し、ベネズエラへの派兵も行っていない。
国民が支持しない戦争を始めたことで非難される党に過去の大統領選で何が起きたかを見てきたトランプは、誰にも自分を「軍事介入主義者」だと非難させるつもりはない。