ヤンが公約に掲げる「自由の配当(The Freedom Dividend)」は、18歳以上の全ての米国民に月額1000ドルを支給するというものだ。経済環境の急激な変化によって生活が不安定になっても、UBIによって困窮を緩和できるというのがその狙いだ。
失業しても、毎月1000ドルが手に入れば教育を受けて新たな職を得たり、場合によっては自ら起業するなど、新たな選択肢が増えることが期待できる。
しかし、UBIの課題は莫大なコストがかかることだ。推計によると、自由の配当のコストは年間3兆ドルに達するという。米国の2020年の国家予算案である4兆7460億ドルと比較すると、いかに巨額であるかがわかるだろう。このことから、UBIに異論を唱える人は多い。シリコンバレーの一部はこれまでUBIを支持してきたが、テック業界にもUBIに反対する人は大勢いるのが実情だ。
職場の透明性を推進する「Blind」が行った調査によると、シリコンバレーに本拠を置くテック企業の従業員のうち、UBIがオートメーションによる失業の解決策になると考える人の割合は34%に過ぎないという。その背景として、オートメーションがもたらす影響について、意見が分かれていることが挙げられる。
同調査では、シリコンバレー企業の従業員の43%が、オートメーションによって職を奪われる可能性を懸念していると回答した。また、AIやオートメーションが米国の労働者に甚大な影響を及ぼすと考えている人の中でも、UBIを支持する人の割合は46%と半分に満たなかった。
Bingの調査によるとAIを開発している企業の間では、オートメーションが経済に与えるインパクトについてコンセンサスが取れていない。オートメーションの影響を最も懸念しているのはリンクトインで、従業員の60%が「脅威に感じる」と回答している。
リンクトインの社員は、UBIに対する支持が最も高く、従業員の47%が支持すると回答している。一方、グーグルやアマゾン、フェイスブック、ウーバーといった自動運転車を開発している企業では、「オートメーションを脅威に感じる」と回答した従業員は半数以下だった。
グーグルは、自動運転車からロボティクスまで、AIの開発にとりわけ力を入れているが、オートメーションを脅威に感じると回答した従業員の割合は36%と、最も低かった。



