毎日1テラのデータを分析可能な「スパコン衛星」の実力

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複数の小型人工衛星がロシアのソユーズによってボストチヌイ宇宙基地から7月5日の早朝に打ち上げられた。この中に含まれたのが、宇宙スタートアップ「Spire Global」のスーパーコンピューティング機能を持つ超小型衛星だ。

人工衛星のデータを用いた分析サービスを提供する「Spire Global」は、今回新たに投入した2基の超小型衛星が「独自の高品質なデータの収集」と、地球への高速なデータ転送を可能にすると声明で述べた。

一緒に打ち上げた6基の衛星と共に、同社の合計80基の超小型衛星を使った船舶や気象、飛行機のトラッキングの品質を高める。

「並列スーパーコンピュータを使った拡張性のあるデバイスは、地球観測の次のフェーズにおいて極めて重要な役割を担う。我々の小型衛星は1基で1日当たり1テラバイトの情報を収集可能だが、データをダウンロードするには大きすぎる。そのため、軌道上で分析を行い、顧客にダイレクトに結果を伝える必要がある」と、SpireのCEOのPeter Platzerは声明で述べた。

「ハリケーンはダウンロードを待ってくれない。欧州宇宙機関がこういった不可欠なデータ解析能力の運用への支援を続けてくれることは嬉しい限りだ」

同社の衛星「Morag」は、衛星の組立やテストを担当するエンジニアのRyan Wilsonの母親の名前から名づけられた。

Spireの衛星は、宇宙空間での輸送サービスを提供するMomentusや衛星通信会社NSLCommなど26の企業の衛星と共に、Exolaunchの実験的な放出機構「CarboNIX」に搭載された。これはバネとロックの仕組みのみを利用した衝撃のない放出システムだ。発火装置が必要ないため、ロケットから分離される際に衝撃が発生しない。特にデリケートな電子機器を使っている小型衛星の打ち上げを想定している。

Spireは2019年5月に100基目の衛星の打ち上げに成功。ラジオ周波数を使って地球全体を網羅し情報を収集している。

今回のソユーズの打ち上げでは33基の衛星が宇宙に放たれ、軌道に乗った。メインとなったのがロシアの気象衛星「Meteor M2-2」だ。中期天気予報の精度を上げるため、両極を結ぶような軌道で飛行してオゾン層や氷の状況、雲、湿度などを観測する。

編集=上田裕資

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