ビジネス

2019.07.10

戦略的に「遊び場」つくる インフルエンサーを集めたコンテンツスタジオの勝ち筋

左から、CCOの栗林和明、クリエイティブアーティストのあさぎーにょ

「マジ卍」 この言葉を初めて聞いた時、恥ずかしながらつい検索してその意味を調べてしまった。

女子中高生の間で流行った、テンションの高ぶりを表す言葉、らしい。こんな言葉が女子中高生の日常会話で使われている(使われていた)ことは、「マジ卍」がほぼ死語になってから知った。

同じようなことは、仕事でも起こる。

日々色々な業界・職種・年齢の方と話をする機会があるが、その多くはある程度の共通認識・言語で会話ができる。しかし、相手に対して「知っていて当然」と思っていた話題やキーワードが通じず、話が噛み合わないことも稀にある。

このように「自分の周りでは知っていて当然のものやことが、ある場所では全く知られていない」現象は、往々にして起きる。

2014年に公開された、再生回数900万回超の動画「忍者女子高生」もそのひとつだろう。



これは、当時博報堂に所属していた栗林和明が、サントリー「C.C.レモン」の広告で製作した動画だ。

海外からの反応も大きく、翌年15年の「ACC CMフェスティバル」では銀賞を受賞するなど各所で話題になった。しかし少し視野を広げると、自分の身の回りでは大きな話題になったこの動画を知らない人が予想以上に多かったことに、栗林はショックを受ける。

業界内では有名なコンテンツが、巷で知られていなかったり、商品の売り上げになかなか繋がらなかったりすることは珍しくない。

自信を持って世の中に送り出した作品が、本当はごく一部の限られた人に届いているだけで、売り上げに繋がりきらない。栗林は、当時そんな葛藤の中にいた。

もっと最適な手段や方法で、世の中を変える「バズ」を起こせるのではないか。

そんな広告に対する一種の難しさと、次の時代の新しいつくり方への可能性を感じた栗林は、博報堂退社後の17年11月、CHOCOLATE Inc.(以下、チョコレイト)に参画した。

「メディアの歴史は、人間の“声”から始まり、文字、紙が生まれ、新聞や雑誌、ラジオ、映画、テレビへと遷移した。それがソーシャルメディアによって“個の時代”と言われるいま、再び人の“声”が一番強いメディアに戻っている。そんな時代の新しいコンテンツの作り方、届け方にチャレンジしたいと思いました」
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文=石原龍太郎 写真=小田駿一

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