「つらいからこそ海外へ」連続起業家・西川順がワクワクすること

連続起業家・西川順


日本にいると楽ですが、「アンコンフォータブル(=快適ではない)」なことに挑戦しないと成長できないと思います。意識的に異分野の人や若い世代の人と話すのも、アンコンフォータブルだからです。自分とは異なる考え方に出会い、成長できると思います。

──どんな未来が来て欲しいと思いますか。

人々が組織に依存せずに、個人の時間を好きなようにお金に変えて生きられる未来ですね。

起業家でも個人事業主でも、ダブルワークでもいいのですが、1つの会社で働く以外の選択肢が増えてほしいと思いますし、これからは個人で働く人が増えていく世の中になると考えています。1つの組織の中だけで生きるよりも、その方が絶対面白いことができる。人間は多面的なので、もっと可能性が広がることに自分の時間を使って、お金を得られる未来がいいですね。

私が33歳まで会社員として働いてわかったのは、会社は守ってくれないということです。だから、その後エウレカを経営していた時もメンバーには「1人で食べていけるようにしてほしい」「会社を辞めてもセルフブランディングできる人になって」と言い続けていました。実際、起業したいと言って辞めるメンバーのことを引き止めませんでしたし、起業した元メンバーに投資もしています。「自分も会社をやってみたい」と独立してくれるメンバーがいるのはすごくいい。会社をやった甲斐があったと感じます。

──起業する人へのアドバイスはありますか。

最近、シリコンバレーのある日本人連続起業家のツイートで、「創業期のスタートアップは、Product-Market-Fitよりも先に、Founder-Product-Fitが重要」という言葉がありました。確かに、プロダクトとマーケットがフィットするより、プロダクトと創業者のフィットが重要だと思いました。自分がどうしてもやりたい、やらないとだめだ、ということに取り組むのが強いと思います。

好きなことなら人の何倍も働けますよね。仕事は楽しいし、わくわくするからやりたいんですよね。起業家仲間とよく話しているのは、「起業は病みつきになる」ということ。つらくて大変だけど、それをまたやりたくなる。事業や組織をゼロイチで作るのは本当に大変ですけど、めちゃくちゃ楽しい。一度その楽しさを味わっちゃうとやめられない。そう、ジェットコースターに乗るとまた乗りたい、という感覚に似ているかもしれない。いま、死ぬほど熱中できることはなんだろう、って赤坂と考えています。


西川順(にしかわ・じゅん)◎大学卒業後、出版社にて取材記者、外資系IT企業にて編集者として従事した後、オールアバウト、サイバーエージェントでWEBプロデューサーを経験。2008年に「エウレカ」を赤坂優と共同創業。12年に恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」、14年にカップル向けコミュニケーションアプリ「Couples」をスタート。15年5月に「エウレカ」を米Match Groupに売却し、17年10月に同社の取締役副社長を退任した。エンジェル投資家として活動しながら、18年に再び赤坂と起業した。

構成=成相通子 イラストレーション=Willa Gebbie

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