キャリア・教育

2019.07.14 15:00

「つらいからこそ海外へ」連続起業家・西川順がワクワクすること


私はスタートアップで重要なのは、経営チームのコミュニケーション・コストが低いことと、信頼関係の強さだと思っています。その点で、赤坂とはそれぞれ会社員だった時代も含めて10年以上一緒に仕事をしてきているので、お互い口に出さなくてもやりたいことがわかるし、どんな人間性なのかもよく分かっている。エウレカの時から2人で経営会議を設定したことはなく、数分の立ち話で済んでしまう。経営陣の方針のすり合わせに時間を使わなくていいので、スピード感を持って経営判断もできるんです。それで2人で再び起業することにしました。

──仕事でわくわくする瞬間はどんな時ですか? 

自分たちが作ったサービスや組織で、人の行動が変わる時です。エウレカでは、Pairsというサービスで会員の行動が変わったり、社内ではメンバーの行動が変わったりしました。エウレカを創業した当初から、フェアな人事評価制度をつくりたいと考えていました。最初はうまく回らないこともありましたが、その後は退職者が少ない、とても強い組織をつくることができました。

私は、人が成長するのを見るのが何より嬉しいです。入社当時はまだ何もできなかったインターン生が2年後には社外でもばりばり仕事をしていたりして。人が成長すればサービスも成長します。それを見るのが一番楽しいですね。

原点は、最初に働いた英語・留学情報のオンラインメディアです。ウェブサイトや会員10万人のメルマガで、編集やライティングをしていました。その時に、自分が書いた記事がきっかけになり、海外留学を決めたという連絡をけっこういただいたんです。

留学をしたからと言って、決して人生が変わるわけではないですが、自分もその経験があるからどれだけつらくて大変なことかわかる。責任感と同時に、いい仕事ができていると感じました。少しだけ背中を後押せば、人の行動を変えることができる、と実感しました。

──西川さんご自身も、大学生の時にオランダの大学に交換留学をされたと聞いています。

留学先では、英語ができなくて、コミュニケーションもとれず、勉強もできずで、最初はずっと帰りたいと思っていました。なんでこんなところに来たんだろうと、つらかったですね。いまも仕事で海外に行くことはありますが、つらいことは多いです。カルチャーも商習慣も異なるので、なかなか思い通りにならない。思い描いている成果を出せなくて、未だに自分を不甲斐なく感じます。

でも、困難を乗り越えて、仕事ができた時は楽しいですし、自分ができないことに気づくのも重要だと思います。自分1人で全てはできないので、人に助けてもらったり、任せることも必要です。
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構成=成相通子 イラストレーション=Willa Gebbie

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