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昨年10月、カードレはポートフォリオ型のプロダクトを発表した。顧客は一口2万5000ドルで10の物件に投資ができる。言葉を換えれば、物件をふるいにかける苦労もなく、わずか2万5000ドルで多彩な商用不動産のポートフォリオが組めるのだ。ゴールドマン・サックスは富裕な個人顧客から集めた2億5000万ドルを、このポートフォリオ型商品に投じた。

同じ時期に二次市場もようやく動き出し、カードレの顧客はクリック一つで持ち分を転売できるようになった。「買ったらがんじがらめ」という不動産投資のデメリットに終止符を打つ試みだ。この二次市場では最新の評価額に平均3%のプレミアムを付けた金額で、これまでに40件の取引が行われた。買い手と売り手はカードレにそれぞれ1.5%ずつの手数料を支払う。今のところはカードレにおける持ち分しか再販売できないが、ウィリアムズは自社をチケット転売仲介サービス「スタブハブ(StubHub)」のような“不動産投資版スタブハブ”にしたいと大志を抱いている。 「それによりカードレは、ネット上のファンドマネジャーから管理されたマーケットプレースへと進化できます」

だが現在、彼が最も苦心しているのは十分な数の優良物件を確保すること。というのも、一流の不動産開発業者は資金調達にウェブサイトなど必要としないからだ。ジャレッドとのコネのために取りこぼした物件もあったことは考えられないだろうか。

カードレを巡る最大の疑問はそこだ。なぜ、ジャレッドは持ち分を手放し、彼の後輩と実の弟を苦境から解放してやらないのか? 特に今はそうした取引を促進する税法上の規定があり、ジャレッドがカードレ株の売却益を得ても納税を繰り延べることができるというのに。

おそらくそれはジャレッドに困ったお手本がいるからだろう。ビリオネアの大統領は、世界で最も重要な仕事を引き受けるにあたっても自身のビジネスから手を引かず、明白な利益相反や外国政府からの報酬に関わる規範をことごとく無視している。

あるいはエゴの問題か。ジャレッドは間違いなくカードレの立ち上げに手を貸した。そのカードレが10億ドル超えの“ユニコーン”になるのを外野から見るのは辛すぎるのかもしれない。 もしくはジャレッドには、政策の策定に関わる人物がその政策から利益を得た場合に起こる問題点が見えていないのかもしれない。それとも単なる金の問題か。いずれにせよ、ウィリアムズがこの問題に直接取り組むことはないだろう。その間、彼は両手を縛られた状態だ。政治的な雑音に関しては、「個人攻撃とは受け取らないようにしている」と、ウィリアムズは言う。

「でも僕だって人間ですし、社員が不快感を訴えてくることもあると思います」 メディアや米国民がトランプとその一家を気にしすぎではないのかと語り、彼はこう付け加えた。

「それでも僕はカードレを生き、食べ、呼吸していますよ」


カードレ◎2014年創業の米商用不動産投資プラットフォーム。投資家はスマートフォンを使って、低価格(最低5万ドル)で商業用および集合住宅用の不動産の掛け金を売買できる。

文=ネイサン・ヴァルディ 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=町田敦夫

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