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カードレは透明性と流動性、そして低コストをウリにしている。投資家はマウスをクリックするだけで、従来のような高額な手数料を課されることなく不動産の一定の持ち分を買ったり、それを二次市場で売却してエグジットしたりすることができるのだ。だがウィリアムズはホワイトハウスとの関係をまるで2tの重りのように引きずりながら、このスタートアップを前進させている。

ウィリアムズは昨年4月、単身東京に飛んだ。ソフトバンクの孫正義CEOと会うためだ。それまでにウィリアムズは8億ドルという企業評価額のもと、カードレのために1億3300万ドルを調達していた。孫は屋内のゴルフ練習場も備えた東京の豪邸で夕食をとりながら、カードレのビジネスモデルについての知識を披露し、5億ドルの出資をにおわせた。

「夕食のあと、彼が『自宅を案内したい』と言った」と、ウィリアムズは振り返る。

「そして一緒に歩いている間に、彼はおもむろに『では、そのレベル感の金額で取引してもいいかね?』と言ったのです」

ウィリアムズは、孫に対して「光栄です。このような機会をいただき、本当に感謝します。ぜひ手を組む方策を考えたいと思います」と応じたという。ところが1カ月もしないうちに、カードレとジャレッドやソフトバンク、サウジ・マネーの潜在的なつながりを強調したニュースをブルームバーグが報じる。交渉はその後、打ち切りとなった。

ウィリアムズが獲得してきたキラ星のような後援者の中には、トランプ政権と何らかの因縁を持つ人物が多い。実業界きっての批判者であるマーク・キューバンのほかにも、シリコンバレーでは最大の支持者であるベンチャー投資家のピーター・ティールや、右翼から陰謀論で槍玉に挙げられるファンドマネジャーのジョージ・ソロスがいる。

だがウィリアムズの頭痛の種となっているのは、政策立案者で大統領とも直接話をすることができるジャレッドその人なのだ。彼はカードレに影響を及ぼすさまざまな決定に関与できる立場にありながら、持ち分を手放していない。ウィリアムズは会社の成長に努める一方で、トランプとの近しさを理由に足をすくわれることのないよう苦心してもいる。

高給取りよりも、大きな夢のために

出資者を探す若き起業家の多くがそうであるように、ウィリアムズも自分自身の売り込み方を心得ている。彼の簡潔な自己紹介はこうだ。ルイジアナ州バトンルージュで育った少年時代にはミミズを切り刻み、釣り餌として売っていた。ハーバード大学卒業後は投資銀行のゴールドマン・サックスとブラックストーンで働き、カードレを創業したあとフォーブスU.S.の「30アンダー30」に選出──。

「彼は臆することなく手を伸ばし、人々と関係を作ろうとする」と、シティグループの副会長で、アフリカ系としてはウォール街屈指の有力者であるレイモンド・マグワイアは言う。ウィリアムズは学部生とハーバード・ビジネススクールの教授陣をつなぐための組織「ベリタス・フィナンシャル・グループ」を組織し、マグワイアを講師として呼んだ。

文=ネイサン・ヴァルディ 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=町田敦夫

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