ファーウェイ社員が過去の「サイバー攻撃」に関与、英紙報道

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また、一部の社員は国家安全部との繋がりが明らかになった。「国家安全部はスパイ活動や対諜報活動を担う組織であり、同部出身者がファーウェイの通信機器製造に関わっていることは重大な懸念を引き起こす」という。

今回の調査に携わったフルブライト大学のBalding教授は、「資料はファーウェイが中国政府や中国軍、中国の諜報機関とあらゆる階層で強い繋がりを持っていることを示している」と述べている。

これに対し、ファーウェイの広報担当者は、次のように反論している。「これらの情報は秘密ではなく、リンクトインなどで無料で入手できるものだ。また、政府機関出身者を採用しているのはファーウェイに限ったことではなく、世界中のテック企業が行っている。我々は、社員が過去の職場で培った技術のお陰で強い競争力を保つことができている。我々は彼らの職歴を誇りに思っており、隠すことはしていない」

ファーウェイと中国政府との密接な繋がりが指摘されたのは、今回が初めてではない。しかし、今回明るみに出た事実は、国家安全保障上の繋がりや、政府のための情報収集など、重要度が全く異なる。

ファーウェイは事実を「隠蔽していた」のか?

ワシントン・ポストは、ファーウェイの中でもとりわけ経営層レベルが中国政府と密接な繋がりがあると指摘している。同紙は、ファーウェイの最高法務責任者Song Liupingが履歴書上で軍隊での経験を曖昧に記述していることを例に挙げ、「ファーウェイの公式ウェブサイトには、Song Liupingなど、経営幹部が過去に軍と関係があった事実が記載されていない。このことからも、疑念が一層深まった。ファーウェイは、他にどんな事実を隠蔽しているのだろうか」と述べている。

しかし、ファーウェイが中国政府の代理で情報を入手していた明確な証拠はまだ見つかっていない。ファーウェイは、同社製品の使用を禁止することは違憲だとして米政府を提訴した。米政府は、「スパイ活動を行っていたことが見込まれるだけでも、これまでの不正行為を正当化することが可能だ」と反論した。

一方、ニューヨーク・タイムズは、「ファーウェイ幹部は、米政府が証拠を示すことなく、何年も前から中国政府がファーウェイ製品を使ってスパイ活動を行っているとして同社を弾圧していることにフラストレーションを感じている」と報じている。

今回の調査結果は、ファーウェイに対する疑念に関わる議論を、さらに白熱させることにつながりそうだ。

編集=上田裕資

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