英国の調査企業「IHSマークイット」のサブディレクターのジェフ・リンは、「アップルはマイクロソフトが2020年に発売予定の2画面搭載Surfaceの対抗馬として、折り畳み式iPadを開発中だ」との見方を示した。
この情報は6月30日、フォーブス寄稿者のBrooke Crothersが執筆した記事で明らかになった。
2019年は各社が発表した、折り畳み式デバイスが大注目を集めた年になった。サムスンはGalaxy Foldを発表したが、発売直前にキャンセルになり、現在も正式発売の目処は立っていない。ファーウェイも折り畳み式端末のMate Xを発表したが、現時点でまだ発売されていない。
アップルが計画中の折り畳み式iPadは、半分のサイズに折り畳み可能なiPad miniになることも想定できるし、フルサイズのタブレットを折り畳み可能にするデバイスかもしれない。
筆者個人としては、現在のiPadは十分スリムで軽量であり、折り畳み式にしたところで、どのようなメリットがあるのかを想定しづらいと考えている。しかし、この端末は2つの独立したディスプレイを持つもので、下部のディスプレイがタッチスクリーン機能を持つとされている。
しかし、アップルは物理キーボードと組み合わせて使用するiPad Proで高い評価を得ており、タッチスクリーンのキーボードに意欲を示すことは考えにくい。もちろん、サブのスクリーンを備えるメリットもあるが、結果的に生じる問題のほうが大きいと考えられる。
ただし、アップルは以前からiPadをラップトップ的な用途で用いるデバイスに進化させようとしており、タッチスクリーン式キーボードを備えることは、その流れには合致するものといえる。さらに同社は、ユーザーがその用途を想像できなかったデバイスを、結果的に誰もが欲しがるデバイスにしてしまった過去を持つ。
一方で、アップルがファーウェイやサムスンの折り畳み式端末と同様に、1枚のディスプレイを折り曲げて使用できるiPadを開発していることも考えられる。これは技術的ハードルがかなり高い仕様になるが、同社がこの方向でイノベーションを進めている可能性も十分ある。
IHSマークイットの情報によると、折り畳み式iPadは5G接続機能を持つことになるという。アップルがiPhoneより前に、iPadを5G対応にすることは考えにくいため、折り畳み式iPadの発売は早くても2020年の後半以降になると推測できる。
筆者は折り畳み式デバイス全般に関し、懐疑的なポジションだ。しかし、サムスンが現状の課題を解決してGalaxy Foldを成功させれば、今後この分野には大きな注目が集まるだろう。
アップルの折り畳み式デバイスに関するニュースには今後も注目していきたい。しかし、同社がこのカテゴリの製品を発表するまでには、まだかなり長い時間がかかりそうだ。