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国連事務総長特別代表の水鳥真美

水鳥真美は昨年、日本人女性として初めて国連事務総長特別代表(防災担当)に就任し、国連防災機関(UNDRR)の長を務めている。そのキャリアの秘訣を聞くと、「こだわりがないからでしょうね」。水鳥はさらりと答えた。

長年勤務した外務省を辞めて、8年前に英セインズベリー日本藝術研究所の統括役所長に就任。50代に入って2回転職し、現職にいたる。肩肘張らずに国際社会の最前線で活躍する水鳥のわくわくする瞬間を聞いた。


──昨年3月に国連事務総長特別代表に就任し、国連防災機関(UNDRR)の長もされています。現在の仕事内容について教えてください。

自然災害、人的災害を問わず、事前に災害の発生を見据えて、国レベルだけでなく各地方、都市、企業、個々人のそれぞれの強靭性を強め、予防を通じた減災対策を推進しています。災害後の対応だけでは、失われる命や経済的損失があまりにも大きいからです。具体的な活動は、例えばこの分野における啓発活動や国際的なルールづくりの支援などです。

2015年に宮城県仙台市で開かれた第三回国連防災世界会議で、2030年までに災害リスクを減らす防災、減災の指針としての国際的防災指針「仙台防災枠組」が合意されました。この合意を達成するために、国連加盟国を対象とする防災に関連する会議の開催などを通じて、持続的開発における防災の重要性について議論しています。

──日本人女性初の国連事務総長特別代表になった水鳥さんのキャリアを築く上での強みはなんでしょうか。

答えとしては元も子もないですが、運が良かったんだと思うんです。タイミングやその時々に近くにいた周りの人々に恵まれました。二つ目をあげれば、それは私の短所でもあるのですが、あまりこだわりがないところだと思います。仕事に限らずその時々に、自分が何をやりたいか、何が重要だと思うか、あるいはどういう人とつきあうか、ということにこだわりがありません。悪く言えばいい加減ですね(笑)。

柔軟性はやはり大事だと思います。こうしなきゃいけない、こういう生き方をしなきゃいけないなどと考えない。そういういい加減さが根底にあるから、時に応じて仕事を変えたり、住む場所を変えたりして生きてこられたと思います。

──要職を歴任し、「女性初の事務次官候補」と期待されつつ、50代で外務省をやめました。どのような軸で仕事を選ばれていますか。

自分がやってみたいかどうかです。ただ、やりたくないこともあるのが仕事です。同時に思うのは、仕事はあくまで仕事だということです。仕事は確かに人生の糧で、金銭的な対価だけでなく人生を豊かにし、人間関係を通じて成長させてくれます。

でも、仕事だけで満足できるのか、というとそうではない。一生懸命やるけれど、仕事は仕事。仕事で変えられることは多いけど、自分がどこで何をしているかによって変えられないことも多い。仕事には枠組みがあり、その中でやらないといけないからです。その枠組み自体が自分にとってうまく回ってないと思ったら仕事を変えることも大事だと思います。

構成=成相通子 イラストレーション=Willa Gebbie

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