あとは自分の弱みをシェアすることも狙いです。リーダーは強い存在であり、弱みを見せるのはダメという認識が一般的ですけど、人間性を出すことで周りから信頼が得やすくなる。今まで光の当たらなかったものに光を当てる。それによって、心が軽くなるし、他の人が弱みを読むことによって勇気づけられる。そういう共感できる場所にしたいと思ったんです。
最近流行っているプロジェクションマッピングではなく、庭を見ながら、自分の過去に光を当てる時間を持つ。単なるエンターテインメントではなく、お寺を心を癒し、他の人の傷も癒す場所にすると面白いのかな、と思い、このコンセプトになっています。
成瀬:過去に書けなかった人、避けてきたことに光を当て、手紙を書く。その手紙を置いていき、公開してもOKな内容のものは誰でも見れる。昔はお寺も人が集まる場所になっていたので、春光院も現代の人が集まる場所にできればいいな、と思います。
今回、川上さんと企画を考えていく上で面白いと感じたのは、特別公開することにした視点です。多くの場所は“人を集める”ことを目的にキャッチーなことをやってしまいがち。でも、今回は昔の金襖の見方を味わう、というルーツに立ち戻っている。「オリジナル」の語源はオリジンであるように、体験をルーツに戻していくことで、その場所の一番の強みを見いだせるのでないか、と個人的に思っています。
当時の人が見ていたのと同じような感覚で、金襖を見る。これが現代の人たちには面白い体験になる。こういった強みが、それぞれの場所で必ずあると思うので、それを見つけて体験に繋げていくことが大切だと思います。
「学びがないお寺」はただの観光地
川上:最先端の技術を取り入れたり、ライトアップで綺麗に見せたり。残念なのは写真を撮って、インスタグラムに投稿して終わりという。それで何が学べるのか。お寺は綺麗な公園、庭と違い、自分と向き合って自分を作っている、支えているものを考える場所。