ビジネス

2019.07.09

「正の経済圏」を伝播させていけば、選ばれるブランドになる|ライフスタイルアクセント山田敏夫

ライフスタイルアクセント 山田敏夫


私は「正の経済圏」と呼んでいるのですが、自分の周り半径1~2メートルの人たちにファンになってもらい、その人達の周りにまたファンが生まれるようにする必要があります。だから最初は直接人に会って、例えばセミナーを実施している会議室の中だけでも「正の経済圏」を作ろうとひたすらしていましたね。



──御社がネット直販ブランドなのに、店舗展開を実施されていることとも繋がってくるように思います。

我々のような「正の経済圏」を作って商品価値を伝える必要があるビジネスにとって、人と人が直接触れ合う店舗というのは不可欠です。「正の経済圏」がなくても成立するもの、たとえば大量生産の消耗品や家電のようなものを売るビジネスであれば、アクセサビリティが高いとか、明日届くかどうかとかが重要なんでしょうけれど、感性に訴える必要がある我々のビジネスでは人と人が直接会って価値を伝えることが重要だと思っています。

──それはオンラインではなく、人と人が直接対話して伝えた方が良いのでしょうか?

我々の商品はベーシックなデザインで、比較的高価格なので、しっかり価値を伝えないといけません。もちろんWeb上の努力はしますが、人が直接説明したほうが感性は伝わります。ですから、工場ツアーを始めとして、お客様が工場と直接触れ合うようなイベントも企画していますし、店頭には接客マイスターを取得しているプロしか売り場に立たせていません。

他にも、企業に実際の商品をお持ちしてファクトリエのものづくりのストーリーを紹介する「出張ファクトリエ」が経営者の方々を中心に人気です。これからAIが人間のライバルになっていく中で、本質的なサービスを続けるためには人間らしい感性を磨いていかないといけない。なのに、多くの人は日本製の良いものに触ったことがない。感性が宿っているものに触れたことのない社員ばかりを抱えることは企業にとってリスクなんです。

そんなときに、ある種の社員教育として「出張ファクトリエ」を呼んでもらえば、本質的なモノにタダで触れ合えます。実際、一枚皮を紹介するだけで「これが本物の皮なんだ!」と感動していただけます。

いいもの、本質的なものに触れた経験は蓄積されていきます。但し、そういった経験は現代ではなかなか出来るものではありません。我々は「出張ファクトリエ」で売上は全く考えていなくて、啓蒙活動だと思ってやっています。ちゃんといいもの、本質的なものが分かる人が「正の経済圏」によって増えていかないと、我々のブランドは選ばれませんからね。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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