さらにその翌日の5日には同じくカリフォルニア州南部でM7.1の余震が発生。40秒以上も続いた揺れにより、ラスベガスで開催中のNBAのサマーリーグでは、一部の試合が打ち切られた。
現地の模様はSNSを通じて広く拡散され、ネット上では恐怖が広がった。その余波はインターネットユーザーの検索動向にも反映されている。グーグルトレンドでは、地震発生以降に「スーパーボルケーノ(超巨大火山)」関連の検索回数が急上昇したことが確認された。
スーパーボルケーノという言葉は、インターネットの利用時間が長い人々にはおなじみのワードだ。地震が引き金となり「イエローストーンのスーパーボルケーノ(超巨大火山)が噴火する」という説は、以前から繰り返し述べられてきた人類滅亡のシナリオだ。
米中西部の3州にまたがるイエローストーン国立公園は、かつて巨大な火山があった地域だ。イエローストーンが万が一噴火した場合、240立方マイル(約1000立方キロメートル)のマグマが噴出し、数十年間に渡って「火山の冬」が地球を覆い、複数の州にまたがるほどのクレーターが出現するとされる。
しかし、米地質調査所の発表によると近い将来、イエローストーンで巨大噴火が起きる確率は73万分の1(0.00014%)で、壊滅的な小惑星の衝突が起きる確率とほぼ同じだという。
つまりこの説は根拠のないデマとも呼ぶべきものだが、地震が起きる度に浮上している。その一例にあげられるのが、下記のようなツイートだ。
「カリフォルニアで大地震が発生した。この地震が引き金となりイエローストーンの巨大噴火が起こる。北米全土が壊滅し、世界の終わりがやってくる」
実際のところ、今回の地震がイエローストーンの巨大噴火につながる可能性はない。現地で常にイエローストーン火山の模様を監視している研究チームも、「噴火につながるいかなる兆候も観測されていない」と述べている。
今回のインターネット民たちの反応は、2つの心理学理論で説明できる。その1つは「アポフェニア(apophenia)」と呼ばれるもので、無意味なノイズや偶然の存在を信じてしまう心理状態のことだ。さらにもう1つが、「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれるもので、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう錯覚を意味する。
これらの言説を信じてしまう人の多くは、過去に広まったツイートを繰り返し引用している。しかし、実際のところ世界の地理はもっと複雑で専門家たちも未来を予測することは不可能なのだ。人類滅亡説をつぶやく暇があったら、今後の余震に備え、防災グッズの購入などを検討したほうがいい。