アメリカの新「石炭王」が60歳で死去、ヘリコプター事故で

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米国の石炭王として知られるビリオネアのクリス・クラインが7月4日、ヘリコプター事故によりこの世を去った。クラインが搭乗していたヘリは、バハマ諸島のプライベートアイランドから約2マイルの距離で発見された。

その翌日に誕生日を控えていた彼は60歳で亡くなった。クラインの死を最初に公にしたのはウェストバージニア州知事のジム・ジャスティスだった。

「我が州が生んだ偉大な人物がこの世を去った。クラインはウェストバージニア州で石炭王国を築いたスーパースターだ。彼は素晴らしい人物だった」とジャスティスはツイートした。

採掘労働者だった父に連れられて15歳から鉱山で働き始めたクラインは、やがて米有数の石炭会社に成長する「フォーサイト・エナジー」を創業し、2014年に上場させた。彼は同社の支配権を2015年に14億ドル(約1520億円)で売却した後、2017年に新たな炭鉱をカナダ東部ノバスコシア州に開設していた。

クラインの保有資産をフォーブスは今年4月時点で、18億ドルと試算していた。

クラインは2018年のフォーブスの取材に対し、「炭鉱の運営者として、嫌われ者であることには慣れている」と述べていた。彼は当時もなお、石炭が世界の燃料消費量の40%を占めていることにふれつつ、こう話していた。

「人間は一番安く手に入るエネルギーを使う権利がある。信頼できて手頃な価格の電気を使っては駄目だなんて、貧しい人たちに言う権利があるだろうか」

クラインは炭鉱夫だった父のもとで6歳から石炭の採掘の手伝いを始め、15歳で炭鉱に就職した。子供の頃は貧乏だったと思うかと、2017年のインタビューで聞かれた際に彼は「自分ほど貧しい暮らしをしていた人間を他に知らない」と応えていた。

石炭は一般的に過去の遺物として考えられがちだが、国際エネルギー機関(IEA)の2018年のデータでは、その採掘量は年間72億トンに達し、2000年の約2倍に達していた。

クラインは当時のインタビューで、彼が開発を進める炭鉱について「世界中の炭鉱が閉山した後も、唯一稼働する炭鉱になるだろう」と話していた。

編集=上田裕資

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