障害者の死亡率は2倍。「災害弱者」の命を救う方法を、石巻で探る

みやぎセルプ協働受注センターの大久清美さん


また普段から地域のイベントに参加するなど、住民との関わりを持つことで、周りにサポートが必要であることを伝えやすくなるだろう。

自身の障害を打ち明けるのは簡単なことではないが、重要なのは「孤立しないこと」だと今野さんは語る。少しの知識や工夫で救える命があること、そして健常者も障害者も互いに普段から備えを行うことが結果的に防災・減災に繋がる。

震災から8年が経ち、現在大久さんは危機感を募らせている。県からの活動予算が年々減額していくなか、情報発信の拠点を失えば、伝承の道が途絶えてしまいかねない。2年後の復興庁終了を控え、先を見据えた活動の必要性がより現実的なものとして被災地に直面する。

「被災地はこれからが勝負なんです」大久さんは覚悟を滲ませる。風化防止や防災・減災知識の伝承は、効果がすぐに数字に表れにくい。だからこそ、長期的な視野で続けていくことが必要だという。

「もう二度と同じ悲しみをする人が出て欲しくないと思います」

どの人の命も置き去りになるようなことがあってはならないと、石巻の人たちは今日も発信し続ける。


石巻市南浜地区に掲げられた看板「がんばろう石巻」

文・写真=丸山裕理

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