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山を守りながら収益を上げる方法

「儲からない」と言われる林業で、なぜ、彼らは生計を立てることができているのだろうか。NPO法人自伐型林業推進協会代表理事で「New自伐型林業のすすめ」などの編著書がある中嶋健造さんは、その理由をこう語る。

「木材価格が低い現在の状況では、50年という若齢林で皆伐・再造林すると大赤字になってしまいます。しかし、自伐型林業では、(植林)50年目から2割以下の適正な皆伐を10年ごとに繰り返す『多間伐』という手法で間伐材を生産していきます。すると、間伐するごとに木の本数は減っても、残った木が成長して蓄積量(在庫)が増えていきます。それと同時に、価値の高い良木の生産も可能になるのです。持続的森林経営の極意は、間伐生産しながら在庫を増やし、単価をアップさせること。これにより、採算が合い始め、自立の道が開けてくるのです」

少しずつ木を伐り出しつつ、残った木々の手入れをすることで、山の価値を上げながら、持続的に収益を上げられること。それが自伐型林業の強みだという。

強みは他にもある。それは設備投資が少なくて済むこと。一般的な林業では機械の大型化が進んでいるが、少しずつ木を伐り出す自伐型林業はユンボや軽トラックなど小型機械で対応できるという。

「木を伐り出すには作業道が必要なのですが、森の中に大きな作業道を作ると風害の心配が出てきます。しかし、自伐型林業は小型設備で始められるので、作業道が2.5mと細くてみますし、上手に作った作業道は土砂崩れを防いでくれることがわかりました。日本の森林は欧米などと違い、傾斜が急な森林が多いんです。急斜面の木を伐って大量に運び出すのは大変なこと。細い作業道を張り巡らせて少しずつ木を伐り出す自伐型林業は、日本の地形に合っていると言えますね」

また、他の仕事と兼業しやすいのも自伐型林業の特徴だ。管理する山が決まっているので、自分で作業計画が立てやすく、他の仕事と両立しやすい。実際、シイタケやワサビの栽培や炭焼き、ゲストハウスの運営など、複数の収入源を確保することで、収入を安定させている人も多いそうだ。


木を傷めないよう細心の注意を払って作業道をつくり、適度な間伐が行われている自伐型林業の森。

文=吉田渓

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