有休に消極的な日本人 「遊び」にはきっかけが必要なのか?

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2. 生活環境が変わるとき

居住地の変化も、新しく「遊び」と出会うきっかけになっている。“転勤族”だという30代の女性は、沖縄転勤を機に、それまでほとんど関心がなかったマリンスポーツに出会ったという。

アクティビティ自体の楽しさもあるが、それ以上に、転勤が多く友達ができづらい中で、マリンスポーツを通じて仲間ができるところに魅力を感じているという。

3. 「死」を身近に感じた時

家族や友人、会社の同僚など、身近な人が亡くなったとき、人は、人生にはいつか終わりがくることに気づく。期限が明示されると重い腰が上がるのは、仕事だけではないのだ。

20代女性は、元上司が亡くなったことをきっかけに、向こう5年で行きたい旅行先リストを作成した。定期的に仕事前にカフェに行き、「次はどこに行こう、週末何しよう」と考えているという。

4. 体力の衰えに気づいたとき

体力の衰えを感じるタイミングでも「遊び」に出会う。例えば、久しぶりにボールを投げて、飛距離が驚くほど短くなっていたときや、軽い気持ちでフットサルをして、サッカー部時代の動きができず怪我をしかけたとき……。

これは私自身の話だが、自分の身体が衰える前にもっと遊んでおかなければ、という意識が日々芽生えている。内発的に自分自身の体力の有限に気づいたことが、「遊び」に気づくきっかけになっている。

今回のインタビューを通して、「遊び」を謳歌している人に魅力を感じる一方で、「きっかけがなければ遊びに出会わないのか」「日本人にとって、遊びは少し遠い存在なのかもしれない」と気づいた。実際、職種、社風、業務量など理由はどうあれ、仕事を休んで遊ぶことに後ろめたさを感じている友人も多い。

仕事はもちろん大事だが、人生の幅や奥行きを増やすには、「遊び」が与えてくれるものもとても大きい。「働き方改革」で休むことを促される今、日本には「遊び方改革」が必要なのかもしれない。

連載:「遊び」で変わる地域とくらし
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文=内田有映

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