ビジネス

2019.07.10

「男社会」の色が濃かったセガサミーがいま、ダイバーシティを目指す理由

杉山文野(左)と里見治紀(右)


「ダイバーシティの向上を目指さないことは、サステナブルか?」と里見。

杉山:今年のパレード参加はまずは社内向けということでしたが、これまでの社外への対応についてはいかがですか?

里見:これから、というところですね。たとえばゲームソフトに「オカマバー」が出てくるといったことについては意識をしています。画一的に遠慮する必要はありませんが、表現にあたっては個を尊重し、侮辱につながるような表現にならないよう留意していますね。

サービスもプロダクトもグローバルに展開しているので、そういった配慮は宗教や国籍についても同様で、社内に審査部門として倫理チームも設けています。

杉山:企業は今、遵守を求められる枠組みがどんどん増えていて、経営者としてはご苦労が多いのではないでしょうか。

里見:CSRにCSVにESGにSDGsですから、ついて行けません(笑)。というのは冗談ですが、上場企業としてもガバナンスやコンプライアンス含めて窮屈にはなってきているのは確かですね。ただ、私自身は縛りがきつくなることは逆に企業が強くなれるチャンスだと考えています。

そこに取り組まない企業は「サステナブル」なのか? という話です。だから、ルールは性悪説に立って整備しますが、それだけでは社内が萎縮してしまいますから、企業カルチャーは性善説に立って築いていくよう心がけています。

ハラスメントの事例であれば、被害者だけでなく加害者である社員、大事な社員を2人も失う可能性があります。それが会社にとっては最も大きな損失であり、企業価値を落とすことに繋がります。被害者を守ることは当然ですが、ハラスメントが起きないようにするためにも、ルールは性悪説に立って厳しく整備しています。

また、ルールだけ作っても社内の納得や共感が得られなければ意味がない。いかにみんなに腹落ちしてもらうかが重要です。

杉山:セガサミーさんにとってダイバーシティというのはどういった意味を持っていますか?

里見:サンフランシスコにいるとき、クリエイティビティが強く求められる仕事には、当たり前のようにLGBTの人が多く関係しているという現実を体験しています。事業所は世界各国にありますし、日本国内に限っても性や宗教、国籍などによる差別で有能な人材を得ることができないのは大きな損失です。

当社は働き方についてもダイバーシティの向上を目指していて、副業を解禁して2年目になりますし、フレックスタイム制度でコアタイムを短縮したり、テレワークを推進したりと、今後もセガサミーらしい働き方、企業文化の構築に取り組んでいきます。

杉山:かつては「男社会」の色が濃かった御社がここまで変化をしている。この動きが、ほかの企業まで広まることを楽しみにしています。

連載:LGBTからダイバーシティを考える
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構成=Forbes JAPAN編集部 写真=藤井さおり

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