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2019.07.06

令和に打ち上げ成功した民間初のロケット「MOMO3号機」秘話

私たちの夢を乗せた「MOMO3号機」が日本の歴史を変えた! 時代が平成から令和へと変わるタイミングで、日本の宇宙開発史に新たな1ページが刻まれた。筆者も参画した民間宇宙ロケットが打ち上げに成功したのだ。開発の裏にあった数多の想いとは。


北海道大樹町の青空の中をロケットがまっすぐに昇っていくのが見えた。見学場所は打ち上げ場所から4km離れているので、ケシ粒くらいの大きさではあるが、太陽の光を浴びて白く光っていたこともあり、はっきりと確認できた。やがて真上に飛んでいき、飛行機雲ならぬロケット雲を作りながら宇宙に飛んでいった。感動とホッとしたことで目に涙が浮かんだ。

2019年5月4日、午前5時45分。

ロケットの打ち上げ実験が行われ、数分後に民間では国内初となる宇宙に到達。インターステラテクノロジズ社(以下、IST)の「MOMO(モモ)3号機」は地上100km上空に達した。そのMOMO3号機のメインスポンサーをしていたのが私たちレオス・キャピタルワークス社である。そして今回は3分の2を私個人がスポンサーしたので、宇宙に到達した民間ロケットの初の個人スポンサーとしての栄誉を得ることができた。とはいえ最大の栄誉に輝くのは、打ち上げに成功した稲川貴大社長とISTの社員の皆さんであり、それを支えた起業家のホリエモンこと堀江貴文さんをはじめとした株主たちである。

支援のきっかけはホリエモンの誘い

そもそも私自身、最初はロケットにはまったく興味がなかった。友人の堀江さんから「ロケット開発を支援してくれ」という話はよくいただいていたが、ふんふんと言って聞き流していた。初号機の打ち上げは動画でライブ中継を見ていたのだが、何度も打ち上げが延期になり、ジリジリしている中で最後に打ち上げられたときにはかなり気持ちがロケットに入り込んでいるのを感じた。残念ながら初号機は上空10kmくらいで爆発し、成功とはいかなかった。

それを見ているうちに私は不思議な感情にとらわれた。私たちが「スポンサー」になれないかと。スポンサーの費用感はわかっていたので、当社にも務まるという算段もあった。それですぐに堀江さんにフェイスブックメッセージを送り、スポンサーになりたい旨を伝えたところ、それがきっかけでMOMO2号機のメインスポンサーになることができた。

当社の主力商品ひふみ投信のキャラクターはたまたま「ひふみろ」という名前のロケットの形をしたキャラクターだ。なので、ロケットとの親和性もあった。そこで、ロケット全体を「ひふみろ」のキャラクターにしたのである。
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文=藤野英人

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