【対談】「壁」をつくらず「アート」に生きろ|コシノジュンコx武井壮

コシノジュンコ(左)、武井壮(右)


武井:アート界のスターもそうだったんですね。実は僕も、アーティストの作品が多くの人の目に触れる場のひとつとして、自分で画廊をやってみようかと思っているんです。

例えばスポーツや音楽には感動や苦悩がたくさんありますが、その瞬間「モーメント」をアートにできないかと考えていて。目標に向かって進んでいる時も、悩み苦しんでいる時も、心の中はアートしているはずだから。

コシノ:それを形にするのは難しいわね。必ずできると思うけれど、きっと最初は悩むでしょう。アーティストに新しい悩みをつくってあげられるなんてとても素晴らしいこと。取り組むべき課題を与え、アイデアを引き出す環境を提供するというのは、なかなかできることではありませんから。

武井:はい、すごく楽しみです。掲げた目標に対して、自ら課題を設定し、悩み葛藤し、結果を出してきた人たちなら、きっとできるはずです。彼らはコシノさんがおっしゃった「無から有」を生み出したり、不可能を可能にしたりしてきた人たちとも言えるのではないでしょうか。我々はみんな「アスリート」とか「アーティスト」とかいう区別も意味がないほど、オリジナリティの塊だと思うんです。だから、そんな人たちの軌跡をアートにしてみたら、唯一無二の価値が生まれるのではないかと思うんです。

コシノ:なるほど、それは興味深い。実は私も最近また油絵をたくさん描いているの。孫と競争するように画用紙を奪い合いながらね(笑)。アーティストとして大事なのは、自分のオリジナリティが発揮できる環境をどう見つけられるかだと思う。年齢も国も関係ないのよね。

世の中の価値基準は常に変わっていくし、世界はとても広い。だから、チャンスは目指していれば必ずいつかは訪れます。私自身もそうでしたから。いつか絶対「時は来る」とね。明日すぐってわけにはいかないかもしれないけれど(笑)、本気で純粋に一生懸命やっていれば、いつか必ず時は来る──そう信じないと、世の中わけがわからなくなっちゃうじゃない?

文・構成=松崎美和子 写真=帆足宗洋

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