【対談】「壁」をつくらず「アート」に生きろ|コシノジュンコx武井壮

コシノジュンコ(左)、武井壮(右)

デザイナーのコシノジュンコと、百獣の王として活躍する武井壮。異色の顔合わせに思える2人の共通点は「アート」だ。

「ファッションデザイナー」の代名詞のような存在のコシノだが、実は「幼い頃から絵を描くことが大好き。他の姉妹とは違う自分だけの個性を見つけてはみ出したくて、ファッションデザイナーではなく、油絵画家になるつもりでいた」という。現在は、デザインのほかにも、ホテル「ハイアットプレイス 東京ベイ」に飾られる油絵や、オペラを使った花火のプロデュースなども手掛けている。

一方、スポーツ番組やバラエティ番組などで活躍する武井は、新たに自身でアートギャラリーをオープンしようと準備を進めているところだ。「大人になっても夢を何度でも叶えられる世界」を目指す彼は、いままでにない、ある「モーメント」を切り取ったアートを生み出す場をつくろうとしている。

コシノジュンコと武井壮は、そんな日本のアートシーンをどのように見ているのか。

答えも正解もないアートの評価軸

──価値を評価する基準があいまいなアートの世界。お二人は、優れたアーティスト、優れた芸術家とはどのようなものだと思いますか?

コシノジュンコ(以下、コシノ):芸術やアートというものは、決まった答えがないものです。数学みたいに1+1=2なんていう正解があるものではない。だからこそ、作品を良い・悪いとジャッジして価値をつけようとすることも、極めて難しいことだと私は思います。

オークションや画廊で高値がついているから絶対にいい絵だとか、流行しているから他より優れているとか、そういうわけでもないでしょう。作品に対して自分の感性が呼応しなければ意味がないですから。

武井壮(以下、武井):そうですね。アートに限ったことではないかもしれないですが、例えば僕が評価軸のひとつかなと思うのは、「どれだけ人に求められているか」。僕もアートと同じように評価軸があいまいな芸能界で仕事をしているので、「求めてくれる人の数だけ価値を生むことができる」ことを実感する機会が多いです。
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文・構成=松崎美和子 写真=帆足宗洋

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