こうしたことを検討するストレステストを行うことで、市場が弱気になれば何が起きるかを事前に把握することができる。さらに、この重要な時期に市場が弱気になった場合の行動計画を立てておくこともできる。
もう一つの取るべき適切な行動は、支出に関する計画に柔軟性を持たせておくことだ。定年退職後の最初の数年間に、固定費を高く設定してはいけない。相場が弱気なら、支出を削減できるように計画立てておくことだ。当面は旅行を延期したり、外食を減らしたり、その他の裁量的支出を減らしたりすることも必要になるかもしれない。
その他、アナリストの中には「リスクを減らすための戦略」を立てておくことを提案する人もいる。まずはポートフォリオに占める株式やその他の危険資産への割合を、退職の日が近づくにつれて徐々に減らし、最大15~20%にする。さらにその後、株式の割合を段階的に増やしていくという戦略だ。
長期的にみれば、インフレが進む中でも購買力を維持するためには、貯蓄を増やす必要がある。つまり、すでに退職していても、株式投資の割合を増やすことが必要になる。
これは、年齢とともにリスクの高い投資の割合は縮小していくべきだという従来の考え方とは逆のものだ。だが、平均寿命が大幅に伸び、私たちは老後の生活費を賄うために、企業年金より自分自身の投資に大きく頼らなければならなくなった。この新しいアドバイスは、より道理にかなったものとなっている。