──なるほど。山田さんは視座が高いからこそ、多くの人を巻き込むことができている。
「ファクトリエ」では、世界に誇れる国内の一流工場で作られたこだわりの服を、インターネットを通じてお客様に直接お届けしていて、既に約50の工場と提携させていただいています。
全てメイドインジャパン、それぞれの商品にアパレル工場の名を冠した工場直結ファッションブランドです。この中間業者を介さず工場と消費者を直接繋ぐ仕組みによって、無くなりゆくメイドインジャパンの文化を守りたいと考えています。
おかげさまで日本のみならず、海外にもファンがたくさんいらっしゃったり、政府関係者の方が見学に来てくださったりしています。それはなぜかというと、資本主義という名で各国で失われかけている「ものづくり文化」を守るための、最後の希望の手法のひとつだと思っていただいているからなんです。
たとえば、フランスのレース編みは同国で一番の伝統工芸で、取り扱っている店は何万軒もあったのに、今やもう数軒しかないんですよ。これが失われたら、彼らの文化がなくなってしまう訳です。我々が地球規模で考えてアクションしているからこそ、「日本では『ファクトリエ』というブランドのおかげでものづくり文化がちゃんと残りそうだ」と興味を持ってくれています。
我々は、今のファクトリエを作るためにどういった課題に直面してきたか、というのを全てオープンにしています。そうやって高い視座を持って情報発信するからこそ、たくさんの応援団を巻き込み続けていく力に繋がっているのだと思います。
最後に、3つ目の素養である「エンジン」は、継続するための原動力です。
エンジンは人それぞれで、どんなものでも構いません。ただ、腹の底からあふれ出るエンジンであることが重要です。
エンジンは壁にぶつかった時に、その壁の高さを決めます。同じ壁を高いと感じるか、それとも低いと感じるかはエンジン次第ということです。腹の底から本気で夢中になって挑戦している人って、普通ならぶつかるような壁もいつの間にか越えちゃってたりしているじゃないですか。
そのような長く挑戦し続けられるエンジンを持つことが起業家には必要だと思います。