ビジネス

2019.07.05

人と会い、本を読む。視座が高くなれば、応援団の輪ができる|ライフスタイルアクセント山田敏夫

ライフスタイルアクセント代表取締役 山田敏夫

「日本の工場から、世界一流のブランドを作る」というビジョンに基づき、代表取締役自らが直接足を運んで厳選した工場と顧客とをECで直接繋ぐファッションブランド「ファクトリエ」。同ブランドを生み出し、ものづくりのあり方を変えようとするライフスタイルアクセント代表取締役・山田敏夫氏に、社会的価値を生み出す起業についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)


「視座の高さ」から生まれる応援団の輪

──起業家にとって大事な3つの素養を挙げるとすれば何でしょう?

「視座の高さ」「巻き込み力」「エンジン」じゃないでしょうか。

──なるほど。一つ目に「視座の高さ」がくるのは山田さんらしいなと思います。

「視座を高く持てるか」というのは、「地球規模で考えてアクションができるか」ということに言い換えられると思います。

例えば、我々が作る服はできるだけオーガニックコットンを使うようにしているんですが、それは何故かというと、途上国のコットン事業従事者が枯れ葉剤の影響で年間約4万人以上亡くなっているという事実があるからなんですね。おまけに児童をたった時給13セント(約15円)という法外な賃金で働かせている。そんな悲惨な事実の上に成り立っているビジネスなのに、日本には年間約40億着の服が供給されているのですが、逆に新品も含めて20億着がゴミとして捨てられているんです。これって地球規模で考えるとあまりに負のサイクルですよね。



出来るだけ安く作って大量に売ること。これは資本主義として「正しいこと」とされていて、供給が過剰になっているのにも関わらず、なにも考えずに同じことを「正しい」と信じてやり続けている人が多い。その思考停止が起こるのは、視座が高くないからだと思うんです。

視座を上がると「他者への愛」が自然に生まれてきます。視座さえ高ければ、必然的に負のサイクルを止めようと考えるはずなんです。

例え話をすると、私は熊本出身で東京に出てくるときに「必ず熊本に帰ってきてね!」とたくさんの人から言われました。東京に出た方が客観的に熊本の課題が広い視点から考えられるようになるから良い事なはずなのに、多くの人は自分の視座の高さで居続けようとする。

現状に安住せずに、「視座を上げられるか」が起業家に必要な素養だと思います。

起業家として「自分が儲けたいから応援してください」なのか、「地球規模でこういうアクションをとることが、世界にとっていいことなんだ」と視座高く訴えるのか次第で、次の素養である「巻き込み力」の強さが変わってきます。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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