日本車が海外名門レースで優勝! 日本のクルマは捨てたもんじゃない


マツダは、ニューヨーク近くのワットキンズ・グレン・サーキットで開催されたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第6戦で、マツダ・チーム・ヨーストが初の総合優勝を達成した。日本ではあまり知られていないかもしれないが、デイトナ24時間レースに出るような、アメリカではスポーツカー・レースの最高群のシリーズだ。

そのレースで見事に1−2フィニッシュ。この勝利も楽なものではなかった。レース終盤、(ホンダの)アキュラ・チーム・ペンスキの元F1ドライバーのフアン・パブロ・モントーヤ選手が、一回マツダ車を抜いたが、マツダが抜き返しての優勝となった。



タイで開催された日本のスーパーGT選手権300クラスでは、日産GT-Rが勝利を飾った。同選手権の500クラスはレクサス、日産、ホンダの日本のメーカーしか出場しないが、300クラスには、メルセデス、ポルシェ、ランボルギーニ、アウディ、アストンマーチン、ロータスが参戦する中、GT-Rが1−2フィニッシュ(1位〜2位)を達成したのは、さすが「ゴジラ」GT-Rとしか言いようがない。



さて、これだけ日本勢が海外の有名なサーキットで最高の結果を出すと、日本のモータースポーツ・ファンは増えるのかと思いきや、それがあまり増えない。

例えば、オランダ出身のドライバー、マックス・フェルスタッペン選手がオーストリアのサーキットを走ったとき、観客席はオレンジ色のファンで埋め尽くされていた。熱心な観衆が、フェルスタッペン選手を応援しており、彼が追い上げてライバル選手を抜いた時の反応はすごかった。でも、日本のサーキットにはそれだけのファンが集まらないし、そこまでは盛り上がらない。

僕が思い出すのは、28年前に中島 悟選手が鈴鹿の第一コーナーを曲がるたびに、満杯のスタンドにウェーブが起きた光景だ。しかし、今はモータースポーツの人気が下がり気味だ。何が違うのか。おそらく一つの理由は、日本には他に遊びに行くところがたくさんあるからではないか。野球や相撲はもとより、肉フェスやラーメンフェス、コミケやコスプレ、コンサートなどなど、ヨーロッパに比べると若者やファミリーが楽しむことがたくさんある。

また、クルマの捉え方の違いもある。ヨーロッパ人にとっては、クルマは今でも“ツール”でなく“アイデンティティ”としての意味合いが強い。日本のモータースポーツを盛り上がらせるためには、今回の記録的な勝利が一度きりの奇跡で終わらず、また、日本人のヒーロー・ドライバーが参戦することが必要なのだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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