ビジネス

2019.07.07

「夫婦で売上10億」企業に イタリア発植物由来コスメブランドが成功した理由

レルボラリオ(L’Erbolario)


「私は大学で政治学を専攻していましたし、銀行での出世の道を期待されていましたし、妻のダニエラは大学で生物学を学び、高校で教鞭をとっていました。私たちには安定したポストに背を向けて、小さいハーブ薬局を開くことにしたんです。選んだのはほんの20平米の店舗で、奥には元々スクーター(ランブレッタ)の販売が営まれていたスペースがあったので、それを作業所にしました。私たちはハーブ製品販売店としてやっていくことに決めたんです。製品の70%は手づくりすることを自分たちに課したりしてね。われながら本当に変わりものだと思いますよ。『レルボラリオ』は、夫婦の愛に、ほんの少し偏執的なこだわりが混じって生まれたわけです」

現在、グループは5000店以上で展開している。うち3200店舗がハーブ薬局、1800店舗が薬局関連、180店舗が自社の旗艦店だ。2018年には、約7700万ユーロ(約9億4400万円)の売上げを出している。この売上げに、フランチャイズ店舗、ならびに「レルボラリオ」の姉妹ラインである薬用ハーブや栄養補助食品のブランド「エルバメア(Erbamea)」の収益が加わる。


フランコ・ベルガマスキ、エルボラリオ創業者、代表取締役

40年間にもわたってこの事業を続けているベルガマスキ氏が自身の創り上げてきたものについて語るさまには、相手にも伝染するような熱い想いがこもる。その語り口はまるでスタートアップ企業の創業者のようだ。

「多くの人に働き口を提供できたことを誇りに思っています。妻と私は、電話ボックスかというような大きさの店舗から始めてここまで来たんです。今では、ローディにある本社に170名、さらにフランチャイジングと旗艦店に180名が働いています。そのほかに、180名が新しく立ち上げたハーブ薬局『NES』で働いています」。

女性にフランチャイズ店経営の門戸を広げるため、6億円の投資──店舗設計から備品貸与、長期研修制度を提供

それはどんなものなのだろうか。ベルガマスキ氏が続ける。

「このプロジェクトは2012年に始まったものなんですが、イタリアでは失業者が多く、とくに女性の失業率が高い。それならと、ハーブ薬局や薬局をオープンしたいけれど資金がない、という若い女性に、チャンスを提供しようと考えたわけです。要は、店舗の設計から備品の無料貸与、最低でも2、3週間の研修制度を弊社負担で提供するものです。また、われわれの店舗で、ひとりの新しいお客様として、無料で顧客体験をしてもらいます。その代わりに、オープンする新店舗では、『レルボラリオ』ブランドと、『エルバメア』製品のみを販売してもらうというプロジェクトです。この事業に全部で500万ユーロ(約6億1300万円)を投資しています。現状、イタリア全体で105店舗の『NES』がオープンしています。
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翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=Forbes Italia提供

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