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2019.07.24

地方xインバウンド観光の可能性 体験重視の「コト消費」が主流に

宮崎県新富町の宿泊施設、茶心(ちゃしん)


伝統文化を守りつつ革新性も持たせる

伝統文化を受け継ぎつつ、革新性も持たせること。これは、世界に名だたる都市として知られるサン・セバスチャン(スペイン)、ポートランド(アメリカ)、フライブルグ(ドイツ)に共通する考え方で、「茶心」もそれを参考としています。

例えばサン・セバスチャンは人口約18万人の小さな都市ですが、料理人たちが組合や美食倶楽部をつくりを新しい技法を研究することで、今ではミシュランの星をもつレストランが複数あり、世界中から富裕層が集まる町になっています。

ポートランドも、フライブルグも同様に、これまでの伝統文化を守りながら、新しいことに果敢にチャレンジしている町です。

「爆買い」に象徴される都会でのモノ消費はすでに過去の話。インバウンド観光客のリピーターは、「コト消費」が主流です。「コト消費」とは、商品やサービスから得られる体験(コト)を重視した消費傾向のことです。これまでは東京、大阪、京都といった都市に集中してきた日本のインバウンド観光ですが、特色ある文化の残る地方都市にも確実にチャンスが出てきていると思います。

現代は、スマホひとつで世界からお客様がやってくる時代です。新富町でもAirbnbを始めた翌日から台湾、香港、韓国から予約が入った民泊もあります。ふだんは当たり前だと思っている地方の文化や体験も、世界に視野を広げることでインバウンド観光客から大きな支持を得ることができるのではないかと思います。

連載:地域経済とソーシャルイノベーション
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文=齋藤潤一

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