日本人が知らないエストニアのいま


そして、3つ目のキーワードが「相互運用性」だ。これまでに、エストニアの電子政府のデータ連携基盤(X-Road)は、隣国フィンランドをはじめ、アイスランド、アゼルバイジャン、キプロスなどで導入されてきた。

特にフィンランドとエストニアは連携を強めており、2018年には電子政府の運営を担う組織として、共同でNIIS(Nordic Institute for Interoperability Solutions)を立ち上げている。

現在は部分的にデータ連携が進んでいる。例えばエストニアで診療を受けた個人が、フィンランドの薬局で処方を受けることが可能に。将来的には、このデータ連携が更に様々な分野に展開されることが期待されており、フィンランドからエストニアに住居を移す際に、面倒な書類手続きを経ずともオンラインで切り替えることができるようになるだろう。

もちろんこれらのデータのやり取りは、暗号化された形で認証されたユーザーのみが安全に情報を取得できる形となっている。

国家ごとの電子政府システムの連携が可能になると、市民も国家の枠組みを超えてシームレスなサービスを享受することができるようになる。今回のオープンソース化も、より多くの国が相互運用性を持った電子政府基盤を導入しやすくするための「地盤作り」とも言えるだろう。

このように「透明性」を高めて国民からの信頼を獲得した上で、「デジタル官民連携」で民間企業とのオープンイノベーションを促進、更に他国との「相互運用性」を高めることこそが、エストニアが自国の電子政府ソリューションをオープンソース化させる理由なのである。

とはいえ今回の取り組みはまだ始まったばかり。現在はロードマップのファーストステップである「計画段階」で、今後コードレポジトリに順次追加されるそうだ。今後の更新に注目したい。

文=齋藤アレックス剛太

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