ビジネス

2019.07.04

ジョブズとの会話が原点。アップルを経て見つけた、「サッカーで世界を変える」挑戦

ソーシャルサッカーブランド「PARK」を立ち上げたサム・デイビー


僕も数年が経ち、いろんな経験をしてきたので、「自分が大好きなサッカーで、世の中に善なることをしよう」と思い、2015年にPARKを立ち上げました。スティーブがよく「Connecting the dots」と言っていますが、個人的には点と点がすべて繋がった感じです。

サッカーはグローバルスポーツであり、人種も関係なく、言語の壁もない。ボールひとつあれば、世界中の誰もがつながれる。そういうスポーツだからこそ、いろんな人をエンパワーメントすることができる。

例えば、難民キャンプで生活したり、孤児院で生活したり、恵まれない環境にいる子どもたちにボールを渡せば、すぐにサッカーを始めることができ、周りにいる子どもたちと繋がれて、そこにコミュニティができる。サッカーは恵まれない環境にいる子どもたちにポジティブな影響を与えることができると思ったので、このブランド、そして「Pass-A-Ball Project」というプロジェクトを始めました。

──ボールをひとつ購入すると、同じ型のボールが恵まれない子どもたちにひとつ寄付される仕組みは非常に面白いと思います。

ボールを購入した人には、同じ型のボールがどこの国の人に寄付されたか、わかる仕組みになっています。この仕組みは2つのポジティブなインパクトがある、と僕は思っています。1つ目は、恵まれない環境にいる子どもたちに、サッカーをする機会を与えられるということ。ボールを購入できない子どもにボールを提供することで、サッカーをしたり、人生を楽しむファシリテーションができるわけです。

2つ目は、ボールを購入した人たちに対して、世界中には恵まれない環境にいる子どもたちがいることを伝えられる。とてもインパクトがあり、意義のあるものだと思っています。


本田圭佑が着るPARKのTシャツ。背中には「SOCCER CAN CHANGE THE WORLD」の文字が。

サッカーが持つ本質的な価値を取り戻す

──ブランドを立ち上げる、という点においてアップル時代の経験が活きている気がするのですが、いかがですか?

すごく役に立っています。アップルは“シンプルなものを追求する”コンセプトが根幹にあります。難しく、複雑にすることは誰にでも出来ること。無駄を排除し、シンプルなものを追求していくことが新しいブランドを立ち上げる時に大切になる。これはすごく難しいことですが、アップルで働いた経験があったので、シンプルさを追求することができました。

その結果、「サッカーは世界を変えることができる」というシンプルなアイデアも生まれ、そこを起点にシンプルなデザインの商品がつくることができています。
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文=新國翔大、人物写真=小田駿一

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