「サーキュラーエコノミーは難しいことじゃないんだ、資源を循環させた方がコストも下がって、自然環境にも優しくて一石二鳥さ」
コスタリカ=コーヒーというのイメージできる人も多いと思いますが、そこに“サーキュラーエコノミー”というワードが入ってくると、とたんに「?」となる方がほとんどではないでしょうか。さて、両者の関係とは──。現地でコーディネイトしてくれたONIBUS COFFEE代表 坂尾篤史氏のコメントとともに紹介します。
農園に根付き始めたサーキュラーエコノミー
軍隊を持たない非武装・中立を貫く平和国家として有名なコスタリカ。実は国家主導で自然環境への取り組みを徹底していることでも知られ、電力の98%以上を自然エネルギーで賄い、2021年までにカーボンニュートラルを目指すなど、革新的な取り組みが世界的に評価されています。
そんなコスタリカの主要産業がコーヒー。人口500万人に満たない、国土は四国と九州を合わせたくらいの小国ですが、その生産量は世界で20位以内にランクインするコーヒー大国です。
世界的なスペシャルティコーヒーの市場拡大により、当然コスタリカでも同コーヒーの生産に力を入れており、各農園がさまざまな知恵を絞って、最高品質の豆を作るべく切磋琢磨しています。そのような農園をいくつか巡る中で、多くの農園主が自然と口にしていたのが「いかに資源を循環させるか、今まで廃棄物だったものを活用するか」でした。
そこには、再生・再利用し続けるビジネスモデルとして先進国を中心に注目を集める、“サーキュラーエコノミー“のリアルな姿がありました。
Los Grandes de Copey農園ではコーヒーチェリーをハンドピックする体験を行なった。
資源の循環により大幅なコストダウンに成功
精製前のコーヒー豆は赤い外皮と果肉に覆われており、通常は内果皮(パーチメント)とともに廃棄されます。ところが近年、コスタリカなど環境に配慮した農法を推奨する一部の国を中心に、それらを再利用する動きが出てきています。
「コーヒー豆の精製過程で出る果肉やパーチメントを発酵させた液体をバイオ燃料として活用したり、単純に廃棄物を乾燥させて燃やして使用するなど、さまざまな方法で再利用しているのが印象的でした。昔はすべて捨てていましたし、燃料も薪を購入して使用していたんですが、手間や費用がかさむので、できるだけ資源を循環させるようにしたそうです」(坂尾氏)
その結果、バイオ燃料化する機械の開発などに多少費用が発生したものの、全体としては大幅なコストダウンを実現したといます。
街レベルで循環型の生産にこだわる生産者団体“CoopeDota”の豆。カーボン・ニュートラルやレインフォレスト・アライアンスのシールが特徴的。
また、資源を再利用する取り組みに加えて、国から「カーボン・ニュートラル」を促されているため、その対策にも力を入れています。コーヒー豆のパッケージには、カーボン・ニュートラルのシールまで貼り付ける徹底ぶり。これにより環境を配慮した生産方法であることを消費者へアピールでき、消費者側もカーボン・ニュートラルや環境配慮への意識が高まるという相乗効果が期待できます。