経済・社会

2019.07.03 11:45

世界が見過ごす北朝鮮の「もう一つの」大量破壊兵器

トランプ米大統領(左)と金正恩朝鮮労働党委員長(右)


すでに伝えられているとおり、北朝鮮は長年、戦術として食料と飢えを使い、戦略的に人々をコントロールし、国連やその他の国際機関の関係者には、何であれ体制側が見せたいと思うものを見せてきた。
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だが、2017年には北朝鮮を脱出した兵士によって、世界が驚く同国の実情が明らかになった。複数の銃弾を受けた兵士の治療にあたった韓国の経験豊富な医師らに衝撃を与えたのは、腸内で見つかった何十種類もの寄生虫と、長さ30㎝ほどの回虫だった。

これは、北朝鮮には化学肥料がなく、農家が人糞を肥料に使っていることが原因とみられる。人糞は、兵士の胃腸から見つかったような寄生虫の感染が拡大させることで知られている。
外交に期待は持てるのか?

北朝鮮に対する制裁措置には全て、人道的な配慮に基づく措置が含まれている。それでも近年、同国で活動していた援助団体や非営利組織の閉鎖が相次いでいる。同国では、銀行の送金システムさえ崩壊している。そして、国境なき医師団などの組織によれば、もう何十年にもわたって、医薬品も食料も、必要とする人たちに届いていない。
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トランプ大統領と金委員長が非核化に関する協議を再開しても、世界中の人々の健康が脅かされていることに変わりはない。核協議が順調にいったとしても(そうなると予想する人はほとんどいないが)、北朝鮮の生物学的状況はさらに悪化していくことになるだろう。

国連の活動と人道的支援が今後も縮小されれば、多剤耐性結核とマラリアの感染は国内全体に急速に拡大することになるだろう(食料も清潔な水も、医療援助もさらに減少することになる)。

編集=木内涼子

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