パートナーの喪失に備えるにはどうすれば? 家計面ですべきこと

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英語では「最善の結果を祈りつつ最悪の結果に備える」という言い回しがある。リスクを求める人でない限り、この格言が日常生活に当てはまるかもしれない。あなたは、シートベルトを着用し、プライベートの医療保険を購入し、雨が降っていないときでも常時傘を携帯しているような人かもしれない。

ほとんどの人は、こうしたリスク回避策を疑うことなく日常的に実践しているが、家計の計画については同じ考え方で臨んでいないことが多い。この厳しい現実は、次のようなデータからも裏付けられている。

・高齢者介護情報サイト、ケアリング・ドットコム(Caring.com)の調査によると、米国人のうち遺言や生前信託といった遺産計画文書を作成している人はわずか42%だった。

・ペンシルベニア大学の研究者らが発表した調査によると、リビングウイル(自分で判断できない状態になったときに受ける医療について事前に要望を明記しておく文書)か医療判断代理委任状(自分で判断できない状態になった場合に受ける医療について、代理で意思決定を行う人を指名する文書)、あるいはその両方を持っている人の数はさらに少なく、全体の約3分の1だった。

・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のスティーブン・ジェンキンス教授(経済・社会政策学)は、パートナーと離別後の女性の貧困率が27%であることを発見した。これは、離別した男性の貧困率の3倍に近い。

パートナーと、死や離婚などを通していつか別れる可能性については考えたくないかもしれない。しかし、こうした状況に今のうちから備えておくことで心を安定させ、どのような状況であっても金銭的に正しい決断を下すことができる。

1. パートナーが亡くなったとき

配偶者の死は人生を変える出来事で、避けることはできず、以前は予想もしていなかったような影響を伴う。完璧に準備を整えておくことは無理かもしれないが、年齢や健康状態、現在のライフステージにかかわらず遺産計画文書を作成・更新しておくことが重要だ。

また、資産や重要な金融関連書類、インターネット口座の詳細やパスワードを棚卸しして、必要なときに簡単に使えるようにしておく。こうした情報がすぐ分かるようにしておくことで、感情に大きな負荷がかかるときでも時間を節約し、不安を緩和することができる。また、遺産の合意プロセスとスケジュールを事前に理解しておくことで、流れを理解し、それに合わせて準備を進めることができる。
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翻訳・編集=出田静

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