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バオバブは5名の社員と世界中に散らばる約900名の「バオパート」と呼ばれるアノテーションをするスタッフで運営しています。強みはまず、アノテーションのツールを内省化して毎日のようにシステムを改善していること、良いスタッフを確保して継続、習熟してもらっていること、クライアントの意図を細かく伝え、TIPSを皆で共有するなどスタッフと血の通ったコミュニケーションを密にしていること、オペレーションを効率よく組み、トライ&エラーをすごい勢いで繰り返すことで、競合よりも正確でかつスピードの速い仕事を実現しています。

例えばタイやベトナムの方は作業が細かくて丁寧ですし、京都の「高学歴主婦軍団」の人たちも大きな戦力です。どれも特別なことはないのですが、「当たり前のことをしつこくやって、当たり前ではない結果をたたき出す」。これが私にできることです。

──相良さんが仕事で「わくわくすること」は何ですか?

ビジネスや社会において「ギャップを解消する」ことがとても面白いと思っています。AIの博士号やバックグランドのない私が一から立ち上げた会社に仕事を依頼してくれるクライアントの存在は大きいです。昨年、ある企業がCEATEC(編集部注・毎年10月幕張メッセで開催されるアジア最大級のIT技術展示会)で発表するための機械学習モデルがうまく作れなくて困っていました。既に何社か依頼されていましたが、8カ月かかってでできたのは精度が低いデータ2000枚だけ。あと2カ月で4万5000枚作らなくてはならない。トライアルでまず500枚やってみたら評価をいただき、最終的には全部やりきることができました。

彼らがCEATECで発表できたのは「バオバブさんのおかげです」と言っていただき、その発表がAIの市場的にもインパクトがあったことも嬉しかったです。全く素人の私たちが、色々な仕組みや方法で大きな課題を成し遂げたということにワクワクします。

また、クライアントと同じくらいバオパートも大切にしていますが、今年5月に私がテレビで紹介されたことがきっかけで、青森県の障がい者就労支援施設の社長さんが「仕事をやらせて欲しい」とオフィスに来られました。障がい者の方がやっているから精度が低い、ということはクライアントに対して絶対にできないので「分かりました。しかし、品質に関しては健常者と同じレベルでお願いします」とお答えしました。

しかし、実際にトライアルをしてみると非常に精度がよくて、どんどんレベルが上がっていきました。素晴らしいと思いましたので実際に青森に直接ツールの説明に行きますと、質問もバンバンしていただいて活況を呈し「今まで仕事がしたくてもできなかったけど、できて嬉しい」という言葉もいただきました。クライアントの要望に応えながらも、こういったギャップを解消していくことはすごく嬉しいです。


6月半ばにカリフォルニアのロングビーチで開催された画像認識のカンファレンス「CVPR2019」にスポンサー出展するバオバブの相良美織(右)。「現地ロサンゼルスに在住のバオパートさんがお手伝いをかってくださってお着物でいらしてブースに華を添えてくれました」。

編集=岩坪文子 イラストレーション=Luke Waller

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