サラリーマンの海外移住 書類では「国への貢献」が審査される

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筆者がスウェーデンに移住して3年が経った。その間、人生100年時代、働き方改革などが騒がれるようになり、仕事や人生の選択肢の幅を広げる人も増えているように思う。移住という選択を考える人もいるのではないだろうか。

そこでこのコラムでは、筆者の経験を振り返りながら、サラリーマンの海外移住のHOW TOを4回にわたり紹介する。初回は、ビザ取得など、移住にあたって必要となる書類の話について。

現地企業に採用されなければ始まらない

海外へ移住するのは、日本国内で引越しするのとは、わけが違う。外国に居住するにはビザというものが必要だ。

例えば、EUの多くが加盟するシェンゲン協定加盟国であれば、観光ビザでは90日までしか滞在できない。当然ながら、観光ビザでは社会保障が得られないため、医療費は高額なものを請求されるし、働くことも学校へ通うことも不可能である。

ビザにはいわゆる配偶者ビザ、学生ビザ、駐在員ビザなどが存在するが、とりあえず日本のサラリーマンがスウェーデンへ移住する場合を想定してみよう。


ノーベル賞の晩餐会が行われるストックホルム市庁舎のタワーからの眺め

スウェーデンの企業で働くために移住する場合、「労働許許可」が必要となる。一般的には「就労ビザ」とも言われているが、実はこれはビザとは異なるものだ。

労働許可の取得に必要なものは、スウェーデンの会社との契約書だ。配偶者や子供がいるのであればその関係を証明する書類、つまり戸籍謄本の原本とその英訳もしくはスウェーデン語訳が必要となる。

労働許可の申請は、雇用主となる企業と雇われる本人がセットで行う。まずは雇用主がスウェーデンという国に対して「スウェーデン及びEU域内で一定期間候補者を探したが見つからず、だが日本で我々の事業にピッタリの人材を見つけたので雇いたい」という申請をする。これと合わせて上述した書類を雇われる本人が用意する。

労働許可が降りたら、スウェーデンへの入国審査の際にその原本を提示し、観光ビザではなく労働許可を持った人としての入国となる。その後、移民庁へ行き、写真撮影と指紋を採取される。数日後、登録した住所に在留許可カードが届き、「居住許可」が降りる。このカードを持って今度は税務署へ行き、住民登録を行い、ようやく現地での生活が始まる。
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文=吉澤智哉

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