現地で見た「ルクセンブルク」のスタートアップ支援

Matej Kastelic / shutterstock.com

前回のコラムで、フランスの「VivaTech」についてレポートしたが、隣国であるルクセンブルクでも、スタートアップ支援が盛り上がり始めている。

今年の1月にシリコンバレーで設立した新会社が、ルクセンブルクで5月21日から24日までの4日間行われたアクセラレーターブートキャンプに選出されたため、これに参加した。このブートキャンプ自体が初開催だったため、参加者側としてもとても楽しみだった。

採択されたスタートアップは全部で45社で、韓国とルクセンブルクの企業が多く、あとはヨーロッパの近隣国、中近東、中国、台湾、日本のスタートアップが参加していた。

会場は「House of Startups」という商工会議所によるインキュベーションセンターで、午前中は教室のような部屋で、午後からは広々として天井が高い開放感のある部屋で講義を受けた。ルクセンブルクはマルチリンガルな国であり、今回のプログラムは全て英語で行われた。休憩タイムには、部屋にあるキッチンに軽食が出て、ネットワーキングがしやすい雰囲気づくりも行われていた。

スケジュールは、1日目は朝から夕方まで講義、2日目、3日目はICTスプリング(イベント)に参加、4日目も講義だった。


(Silicon Valley Ventures)

2人で進めていく講義のスタイル

講義では、House of Startupsのビジネス開発担当者から、起業家が投資家に対して提示するピッチ資料をつくる際の重要なファクターについての説明があった。資料は20ページから30ページで、3年分のキャッシュフローの予測や市場についてきちんと書くようにと教えられた。

また、著名ベンチャーキャピタリスト兼エンジェル投資家と、成功するスタートアップ10の法則や、どのようなスタートアップだとヨーロッパのVCから投資を受けやすく、ビジネス成長がし易いかなどのディスカッションを行った。

成功事例として、過去にこのインキュベーションセンターに入居し、成長を遂げたスタートアップのCEOたちの講義もあった。大手VCやエンジェル協会の会長の講演もあり、人口わずか60万人の小国だからこそ、イノベーション系の人脈はこのエコシステムに入れば、皆が協力してくれるように感じた。

面白いと思ったのが、講義を2人で進めていくスタイルが2度あったことだ。教室の前方に2人の講師が並び、パネルディスカッションのように話し合いながら講義をする。ビジネス開発者とベンチャーキャピタリストのタッグと、某グローバル企業のヨーロッパのビジネス担当者2名のタッグで行われた。


(Silicon Valley Ventures)

これは、数年前に、UCバークレーのハスビジネススクールで受講したエグゼクティブ教育の講義スタイルと全く同じで、日本ではまだ一般的ではないが、今後、日本の教育においても取り入れると、生徒により良い情報と刺激が与えられると思った。
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文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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