ビジネス

2019.07.01

アマゾンによる買収がホールフーズと業界に及ぼした変化

(Photo by Bill O'Leary/The Washington Post via Getty Images)


買収は必ず「痛み」を伴う

アマゾンによる買収がホールフーズにもたらしたプラスの変化は、各店舗の余剰在庫が減り、コストが減り、店員たちがより顧客重視の対応をできるようなったことだ。だが、これらは結果として、陳列棚の空きスペース、顧客の怒り、店員たちの意欲の喪失にもつながっている。

商品の仕入れなどの業務を本社に集中化させることは、マーケティングを一元化することでもある。一部の店舗では、これまで独自に行ってきたマーケティングの担当部署の従業員が多数解雇された。利益を増やすために全ての業務を本社に集中化させようとすれば、こうした変化が起きるのは当然のことだ。

どの企業でも、買収には痛みが伴う。アマゾンによるホールフーズの買収も、明らかに例外ではない。

業界全体にも影響

ホールフーズにとっての最大の変化は、インスタカートとの提携の解消と、2時間以内に商品を届ける「プライムナウ」のサービスの導入だ。「プライム」は当然ながら、食料雑貨市場にも大きな影響を及ぼしている。

ウォルマートは、年間98ドルで回数の制限なく食料品の配達を行うサービスを開始した。クローガーは、5.95ドル(初回は無料)で食事と生鮮食品を最短30分で顧客に届けるサービスの試験運用を始めている。そうした中で小売業界は依然として、配達の「ラストマイル」を採算の取れるサービスにするために悪戦苦闘している。

アマゾンとホールフーズの事業はまだ始まったばかりだ。今後アマゾンは、ホールフーズの店舗と顧客、そして市場全体にどのような変化をもたらしていくのだろうか。興味深いところだ。

編集=木内涼子

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