ビジネス

2019.07.01

アマゾンによる買収がホールフーズと業界に及ぼした変化

(Photo by Bill O'Leary/The Washington Post via Getty Images)

米アマゾン・ドット・コムが同国のスーパーマーケット・チェーン、ホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1兆4800億円)の現金で買収してから、およそ2年が経つ。アマゾンの傘下に入って以降、ホールフーズにはさまざまな変化が起きている。

そうした変化の中には、改善といえるものもある一方、何が起きたのかと疑問を持たせるようなものもある。いずれにしても、同チェーンに起きた変化は全て、アマゾンの利益を上げるためのものだ。

「プライム」の影響

ホールフーズに起きた最大の変化は、アマゾンの会員制プログラム、プライムの影響を受けるようになったことだ。ホールフーズの顧客は「プライムナウ」を通じて午前8時~午後10時に注文した場合、2時間以内に食料品を届けてもらうことができる。

ホールフーズは2014年にインスタカートと提携。顧客から注文を受けると、インスタカートの「ショッパー」が近隣のホールフーズで希望の品物をそろえ、指定の時間内に顧客の自宅に届けるという買い物代行サービスを行ってきた。2016年には、両社は同サービスに関する5年間の独占契約を結んでいた。

だが、短時間で商品を届ける「プライムナウ」と生鮮食品の宅配を行う「アマゾンフレッシュ」のサービスを統合させようとしているアマゾンにとって、もう一つの同様のサービスがあることは明らかに問題だ。「インスタカート」のブランド名は今年末までに、ホールフーズの店内から全て消えることになる。

体制・店舗の変化

ホールフーズには買収後、企業レベルでの変化もあった。その最大のものは、テキサス州オースティンにある本社への仕入れ業務などの集中化だ。また、事業に関して地域別に立てていた戦略を、全州で統一することにした。

これにより、ホールフーズは各地域の小規模なサプライヤーとの関係を断ち、全米規模で事業を行うより大規模なサプライヤーと契約することになった。

また、変化はホールフーズの店内にも見られる。一部の店舗では、販売する食料品が不足ことにもなっている。顧客の中には買収によって来店者数が増えたためだと批判する人も多いが、実際には在庫管理システムの変更が原因だ。
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編集=木内涼子

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