ビジネス

2019.07.02

優秀なクリエイターを抱えるギルド集団に──Basecampが「dely子会社化」で狙うモノ

(左)Basecamp共同経営パートナーの広野萌 (右)Basecampの共同代表であり、新たにdelyのCXOに就任した坪田朋


優秀なクリエイターを抱える「ギルド」を目指す

「3月にTRILLを買収して、delyもやりたいことがたくさんある。動画やマーケティングなどクリエイティブを強化するほか、経営の多角化も図っていく上でプロダクトも強化してアクセルを踏んでいきたいと思っている。

とはいえ、良いクリエイターは組織に所属せずフリーランスとして活動する時代になってきているため採用が難しい。だからこそ、Basecampの運営は継続し、独立した子会社のまま良いクリエイター、デザイナーが関わりたくなる場を提供し続けます。社外の仕事をしながら、CMやブランド、サービスの改善などでdelyの成長に寄与する、それがお互いにとって良いと思ったんです」(坪田)

坪田によれば、今後Basecampはデザイン制作会社として機能させるのではなく、良いクリエイターが所属するプラットフォームを提供して、プロジェクト単位で所属デザイナーでチームを編成。dely、TRILLのクリエイティブワークも担う集団にしていくことを考えているという。イメージは「ギルド」だ。



まず、広野はこう語る。

「Basecampはこれから、ブランドやUI/UXのみならず、動画クリエイター、グラフィックデザイナーなど、様々なクリエイティブに関わる領域の人が集まって、クライアントの課題を解決するチームにしたいなと思っています」(広野)

ブランドをつくり、サービスのUI/UXをつくり、プロモーションをつくる。これを一気通貫で手がけられるようにする。それがBasecampの目指すところだと、広野は言う。

それに続けて、坪田はこう語る。

「いまの時代、優秀な人材がどんどんフリーランス化している。これはすごくいいことだと思う一方で、フリーランスになると、受けられる仕事が小粒になっていく。個人スキルは発揮できるし、社会人時代より収入は高くなっているかもしれないけど、日本経済に貢献できているほど大きなプロジェクトかというと、そうではない。

やっぱり1人、2人でやると限界がある。経済に貢献するのであれば、会社として大きな仕事を受けて、優秀な人たちと一緒に推進する機能が必要になってくる。そして、その機能は今後求められてくるので、それを目指していきたいです」

文=新國翔大、写真=帆足宗洋

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