テクノロジー

2019.07.01 16:30

スペースXのロケット部品回収で大活躍した「巨大な網」

スペースXが打ち上げた大型ロケット「ファルコンヘビー」(Photo by Joel Kowsky/NASA via Getty Images)

スペースXが打ち上げた大型ロケット「ファルコンヘビー」(Photo by Joel Kowsky/NASA via Getty Images)

6月25日、スペースXは大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功した。今回の発射では、ロケットの再利用に関する取り組みでも大きな進化が見られた。

27基のロケットエンジン「マーリン(Merlin)」が搭載され、510万ポンドの推力を誇るファルコンヘビーは、フロリダのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。積み荷はアメリカ空軍の人工衛星24基だった。

ロケットブースターは打ち上げ地点への帰還に成功したが、中央ブースターの大西洋の無人船への帰還は失敗した。しかし、イーロン・マスクは「ミス・ツリーがファルコンのフェアリング(先端部分)をキャッチした」とツイートした。

ミス・ツリーとは、これまでは「ミスター・スティーブン」と呼ばれていた船のことだ。パラシュートで地球に落ちてくるロケットのフェアリングを再利用するべく、巨大なネット(網)で回収するための船だ。フェアリングは積み荷の人工衛星を守る役割を終えた後、高高度で2つに割れて分離される。

これまで600万ドル(約6億5000万円)もするフェアリングは海に落下していた。海水に浸かってしまうと、再利用は容易ではない。

巨大ネットは4つのアームによってキャッチャーミットのように広げられる。地球に落ちてくるフェアリングはGPS制御によって回収船へと誘導される。これまで何度か試してきたが捕獲できず、今回が初めての成功となった。

フェアリングの半分は回収船が捕獲したが、残りの半分は海に落下した。しかし、今回の成功により、ロケット部品の再利用が前進したことは間違いない。現在、再利用ができていないのは上段のみで、打ち上げ費用は劇的に下がっている。

今回のファルコンヘビーの打ち上げは、全ての人工衛星を予定の軌道に載せられたというだけでなく、様々な理由で功績をあげている。今後は落下する巨大な金属片をミス・ツリーが捉える瞬間を動画で観たいところだ。

編集=上田裕資

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