この分野の成長はさらに続き、2030年には45億ドル(約4900億円)近くに達するとされている。市場の成長を牽引したのは、「ポケモンGO」を開発したナイアンティックで、同社は先日このゲームの続編である「ハリー・ポッター:魔法同盟」の配信を開始した。
ARエンターテイメントのエコシステムには、美術館の展示や娯楽施設の機器も含まれており、アプリに限らず様々な分野での利用が拡大中だ。さらに、完成度の高いスマートグラスが市場に投入されれば、利用シーンはさらに広がるだろう。
筆者はGreenlight reportのアナリストのAlexis Macklinに、今後の見通しを聞いた。
──最も速いペースで拡大中の領域は?
プレミアム感を売りにする娯楽施設はモバイルARの導入によって追加の収入を得ており、博物館などの教育目的の施設での導入が進んでいる。モバイルVRのコンテンツは比較的安価に製作可能でマス向けにアピールしやすく、施設の運営者も前向きな姿勢を示している。
──スマートフォン以外でAR体験において重要なデバイスは?
プロジェクターを用いたディスプレイやスマートグラスが、今後のARの普及を支えるデバイスになる。
──スマートグラスが普及する時期は?
位置情報を活用したARエンターテイメントの普及の追い風となるのが、コストを抑えたスマーグラスの登場だ。ただし、スマートグラスは依然として発達段階にあるプロダクトであり、ここ3年以内に大きなインパクトを持つことにはならない見通しだ。
娯楽施設の運営者らは、スマートグラスを導入することの費用対効果を見極めている段階であり、まだ完全に前向きな姿勢ではない。
──ここ数年の市場の拡大ペースの見通しは?
位置情報ベースのARエンターテイメント市場は、2023年末までに9億5000万ドルに拡大する。ここで成長を牽引するのは、スマートフォンを活用したARコンテンツになる。さらに、2023年頃からスマートグラスを基盤としたARも一定のボリュームの売上を生み出すことになる。