「個人が記号で規定されず、ベストを尽くせるように」──メルカリ流、D&I施策の舞台裏

メルカリ版「Pride」ステッカー


ただ、最初から正式なチームとして認められていたわけではない。もともとは有志のメンバーで結成された部活動「#z-diversity」として2018年3月から活動がスタートし、その後、ボランティアチームとなり、夏に会社の公式プロジェクト化。

そして2019年2月にD&Iチームが発足し、今に至る。有志による部活動から、どのようにして会社の正式なプロジェクトとなり、そしてチームとして認められたのか。メルカリのD&Iに関する取り組みの変遷、そして取り組みに懸ける思いについて鈴木に聞いた。

有志メンバー4人で始まったD&Iプロジェクト

メルカリで“ダイバーシティ”に関する取り組みが初めて行われたのは2018年春のこと。

「もともと、労務(現People Experience)チーム主導で、福利厚生制度を整えたのが始まりです。『仕事で最大限のパフォーマンスを発揮するには、まずプライベートが充実し、精神的に安定していなければならない』という考えがあったと小泉から聞いています」と鈴木は振り返る。

労務主催でLGBT+ワークショップが開催されたのと時を同じくて、前述の部活動「#z-diversity」が発足する。「社内の多様性に関して考えたい」というメンバーが集まり、その有志メンバーでレインボープライドに参加。そこで見た光景に危機感を覚えたという。

「私たちがレインボープライドで見たのは、企業としてマイノリティを支援する先進的な企業の姿でした。『メルカリもD&Iを社内外で推進しなければ』と、半ば危機的意識を感じて立ち上がったのが『D&Iプロジェクト』です。私を含めた4人のボランティアで立ち上げることにしました」(鈴木)


「D&Iプロジェクト」を立ち上げた有志メンバーの4人

プロジェクトを立ち上げた最初に行ったのは社内サーベイ。「現状を把握し、その情報をもとに会社として何から始めるべきかを考え、経営陣に提案した」(鈴木)という。

その間、フリマアプリ「メルカリ」の性別欄に第三の選択肢を増やすためにプロダクト側と協力したり、「宿泊込みの合宿で部屋割りをどうするべきか?」という質問に答えたりするなど、D&Iのコンサルティング的な役割も担ったとのこと。
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文=新國翔大、写真=メルカリ提供

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