国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


日本のカーメーカーも、確かに好成績を残したいだろうけど、それと同じぐらい重要、いやそれ以上大切なのは、レースから私たちが乗る一般車にどれだけ意味のあるフィードバックができるかということだ。

例えば、レースで得たデータで、どれだけ安全性や乗り心地を向上することができるか。と同時に、クルマ作りの人材育成にどれだけ貢献できるかが試される。ニュルブルクリンクには、クルマ作りに必要な路面や条件が全て揃っているからだ。路面の凹凸や急な変化に応えるサスペンション、乗り心地、車体の剛性感、ブレーキやタイヤの磨耗など、年々開発が重ねられる。

僕も自分の目で確かめている。実は9年前に、レクサスIS-Fと言う高級セダンのレース仕様車でこのレースに参戦して、幸いクラス4位に入賞した。僕が乗ったクルマはサスペンション、ブレーキ、タイヤ、アルミドア以外は、ショールームで購入できるほど極めて普通のクルマだった。特にエンジンとトランスミッションは一般車と同様だった。24時間、過酷な場所でも健在で完走できたことは、その信頼性を物語っていた。

そのクルマ以降、レクサスはサスペンションのより良い構造や性能を考え出したので、今現在のレスサス車は後輪の安定性と乗り心地は特に向上しているようだ。それこそがレースから学ぶ重要なレッスンだ。

初挑戦のGRスープラ、そして総合24位のレクサス、6回目のクラス優勝を果たしたスバルWRX STIは、それぞれの結果から何を学び、どう生かしていくのか。その答えは、将来ユーザーに届くクルマにちりばめられている。ニュルブルクリンクの過酷なレースは、決してレース好きのためだけのお祭りではない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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