ビジネス

2019.06.28

アートを「本気」でビジネスに──日本の美の価値を世界のスタンダードへ

初めてのForbes CAREER主催イベント

6月12日、Forbes CAREERのイベント「日本のアートを”本気”でビジネスにするということ」を開催した。

現代美術家/スタートバーン代表取締役の施井泰平氏と丹青社 B-OWND プロデューサーの石上賢氏が登壇し、Forbes Career編集長後藤亮輔がモデレーターを務めた。

2019年春からアートxブロックチェーンの新事業「B-OWND(ビーオウンド)」を共に運営する施井氏と石上氏の2人は、対談の前半で「日本のアート界の現状とビジネスモデル」について各々の本音を共有し、後半ではオーディエンスからの質問を受けて「今後の日本のアート界の展望」についてそれぞれの見解と持論、そして希望を唱えた。

会の冒頭、今回のイベントが席数30名に対して250人を超える応募があったことを受けて、施井氏はこのように意気込みを語った。

「”本気”というタイトルが今回のイベントの要になっているのかなと思うんですよ。僕たちは、失敗したら他の選択肢がないという意味においては命がけでアート界に挑戦している姿勢を少しでもお話しできればいいかなと思っています」


アート市場の現状

Art Basel and UBSによるThe Art Market 2018によれば世界のアート市場は637億ドルで、このうちアート東京の調べでは日本の市場は3.6%の2437億円に留まる。

石上氏は日本のアートの現状について「シンプルに数と量が足りていないのが原因だと思います。数に関しては美術館に行く人は多いですが、アートを買う・持っていることが少ない。質の面では作品の単価が低いことが問題です。作品を購入すると税が控除されるといったインフラ整備がアート先進国と比較して遅れていることもあります」と指摘する。

ここで誰もが一度は疑問に思ったことのある「アートのセカンダリーマーケットにおいて作品価格が高騰する理由」について後藤が質問を投げかけた。

施井氏「アート作品は、時間がたたないとデューデリジェンス(投資の際に、投資対象の価値やリスクを評価する調査)が出来ないスタートアップと似たところがあるのかもしれません。アートは社会にもまれながら価値付けされていくものだと思うので、セカンダリーマーケットに移行してからも長期スパンで普遍的な価値を問う特殊な市場なんだと思います」

アカデミックと市場のせめぎあい、という表現で石上氏はアートが持つ3つの価値について触れた。「視覚的な価値、希少価値、背後に見えるコンセプト価値という3つのうち、コンセプトや文脈の価値は絶対評価がないからこそ、美術館・キュレーターといったアカデミックの人たちが評価する一面とマーケット市場の評価がせめぎあい、組み合わさって作られます。それらが時を経て価値が増していくことなんだと思います」


(アートxブロックチェーンビジネスについて)
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文=猪俣由香 写真=曽川拓哉

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