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2019.06.27

ネトフリの「型破りなコンテンツ制作論」 日本の実写作品でも発揮

Netflix Japanコンテンツ・アクイジション部門ディレクターの坂本和隆


日本が持つ「魅力」は世界的に見ても圧倒的に高い

AV監督を描く『全裸監督』、さらには、ある猟奇殺人事件をモチーフにしたオリジナル映画『愛なき森で叫べ』など、地上波では放送できないであろう過激な作品がラインナップされている今回のオリジナル実写作品。ただ、坂本は「コンテンツのストーリーで何よりも重要視しているのが“普遍性”です」と語る。

「『全裸監督』に関しては、単純にポルノの話だけを描きたいとは思っていませんでした。“村西とおる“という、すごくエネルギッシュな方が日本にいたこと、そして黒木香さんというひとりのAV女優が、わずか数本の作品でそれまでのAV女優の立ち位置を覆し、村西さんをメインストリームに押し上げていったこと。それを、普遍的なテーマである“男女の人間関係”という視点で取り上げることで、より魅力的なストーリーになる。ちょっと奇抜に感じるかもしれないですが、そういう意味で『全裸監督』は全世界で楽しめる物語だと思います」


AV監督・村西とおるを演じた山田孝之

インタビューの最後、坂本に「日本のオリジナル実写作品に懸ける思い」について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「日本の映画業界が元気がないと言われることがありますが、私は日本の作品は強いと思っています。想像している以上に日本の作品に期待している人、注目している人は多い。実際、海外のクリエーターは日本とやりたい、日本でやりたいと言っているんです」

それを象徴するような発言が、『ストレンジャー・シングス 未知の世界 3』の製作総指揮、脚本、監督のダファー兄弟(マット・ダファーとロス・ダファー)の口から発っせられた。2人は「オリジナル作品祭」で流されたコメント映像で、次のように語っていた。

「『ストレンジャー・シングス』というと、スティーブン・スピルバーグやスティーブン・キングの影響を受けていると言われるけど、実は、日本の文化にも大きな影響を受けています。僕たちは二人とも“超オタク”だから、子供の頃からアニメやゲームに夢中だったんです。特にゲーム。自然と作品を作るときの助けになっています。『エルフェンリート』『AKIRA』『サイレントヒル』の3作品からは、アップサイドダウン(裏の世界)を描くのにとてもインスピレーションを受けました。そして、シーズン3は、「バイオハザード」からたくさんインスピレーションを受けたんです」

日本が持つ魅力は世界的に見ても、圧倒的に高い位置にある──坂本は日本が持つ強みを、このように捉えている。

「その魅力を作品を通して、きちんと伝えていくことが私たちのミッション。これからオリジナル実写作品に力を入れていくので楽しみに待っててください」

文=新國翔大

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