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スポーツ配信の黒船、「DAZN」との手に汗握る交渉

そして2017年、PLMは更なるターニングポイントを迎える。前年の2016年夏に日本でローンチしたスポーツ専門ネット配信サービス「DAZN(ダゾーン)」との契約交渉に臨むこととなったのだ。2017年当時、試合の動画配信は自社のパ・リーグTVが行うほか、ソフトバンクが当時運営していた「スポナビライブ」にもライセンスを販売する形で行なっていた。そこにイギリス発のDAZNが名乗りを上げた。

ネット配信権のライセンス先が増え、収益が上がることはPLM、ないしはその株主である各球団にとってやぶさかではない。けれども言わばDAZNはパ・リーグTVの、そして親会社のソフトバンクや楽天が運営する動画配信サービスの「競合」になり得る。極めて慎重な交渉が要求されることとなった。その交渉の取りまとめに臨んだ根岸氏は、こう振り返る。

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「楽天とソフトバンク、DAZNには収益性や露出などに紐づいたプランを複数用意してもらい、それぞれのメリットデメリットを提示してもらいました。各球団にとって、それぞれの“100点満点”は異なりますから、10点、20点ほどの小さな“YESテイク”を積み重ねて、合格点を目指していきました。

正直なところ、一時は『別にPLMがなくなってもいいんじゃないの』みたいなやり取りもあった。けれどもそれだけは絶対に避けたかったんです。なぜなら、僕が社長になったとき、『PLMはいつか“セ・パ12球団でリーグビジネスをやる”ためのプロセスであり、12球団での成功モデルを確立できれば、PLMは発展的に解消する』と納得して、この会社を引き継いだからです」

そう、PLMはメジャーリーグのビジネスモデルを志向して発足したのだ。メジャーリーグではア・リーグ、ナ・リーグ全30球団全試合のネット配信権を含む放映権を一括管理し、数千億円単位で収益を上げている。かたや日本では、PLMが取り扱っているのはパ・リーグのネット配信権のみ。地上波放映権は依然として各球団による個別管理となっている。

「もしここでPLMがなくなってしまえば、12球団一丸となってプロ野球界の発展に取り組み、ファンにとって本当に価値あるものを提供できるようになる未来が、さらに遠のいてしまうと思ったんです」

こうして根岸氏の固い決意と粘り強い交渉が実り、6球団が一致団結して、ネット配信パートナーとして楽天、ソフトバンク、DAZNの3社と2018年から5年契約を結ぶこととなった。そして同年、PLMの売上は50億円に達し、大きな成功を収めることとなったのである。

子どもたちが「スポーツビジネスパーソンになりたい」と夢見るように

2016年からは「FOXスポーツ台湾」と放映権契約を締結し、ライブ配信プラットフォームをプロゴルフや女子プロ野球に提供するなど、海外への放映権販売やインバウンド施策、スポーツビジネスのノウハウ共有を推進。2018年7月にはスポーツ業界に特化した人材紹介サービス「PLMキャリア」を立ち上げるなど、事業の多角化、グローバル化も進めるPLM。30名ほどの社員と業務委託契約者のうち、その約8割がここ2、3年で入社したニューカマーだという。

「みんながみんな『野球が好き』とも限りませんが、会社のビジョンとして『プロ野球界、スポーツ界の発展を通して、日本の社会全体を明るく元気にしていくこと』を掲げているように、スポーツに関することならなんでもかまわない。その人が好きなことを形にできる会社なんですよ。それぞれがこれまで培ってきたキャリアや人間性が発想を生み、事業の種を蒔く。野球、そしてスポーツビジネスにはまだまだ伸びしろがあると考えています」

そして根岸氏が思い描くのは、こんなグランドデザインだ。2028年にはPLMは「スポーツ界の総合商社」となり、「スポーツビジネスパーソンが『小学生のなりたい職業ランキング9位』になる」──。

「きっと『プロ野球選手』や『サッカー選手』はこれからもランキング上位だろうけど、みんながみんなそうなれるとは限らない。でも、好きなスポーツに携わる方法が他にあるとしたら、夢が広がるじゃないですか。スポーツに関わる仕事の価値を、選手に近しい位置にまで引き上げ、『スポーツに関わりたい』と思う人の裾野を広げていきたい。スポーツにはそれだけのポテンシャルがありますから」

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